漫画ライター

決着はつかないと思ってたけど、そんなん笑うわ! 映画『貞子 vs 伽椰子』のネタバレ感想

      2017/03/02

sadakahya

日本/国 上映時間99分
監督:白石晃士
脚本:白石晃士
出演:山本美月、 玉城ティナ、安藤政信 ほか

「リング」の貞子と「呪怨」の伽椰子というJホラーを代表する恐怖の2大キャラクターの共演が実現した作品。「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや「ノロイ」「オカルト」などホラー作品を多数手がける白石晃士監督がメガホンをとり、山本美月が主演、玉城ティナ、安藤政信らが共演する。その映像を見ると貞子から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いの動画」を見てしまった女子大生の有里。そして、入ったら行方不明になるという「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生の鈴香。共に呪いをかけられた2人を救うために立ち上がった霊媒師の経蔵は、貞子と伽椰子を戦わせるという秘策に打って出る。

もとはエイプリルフールのネタとして発表されたこの作品、実現すると聞いたときから胸踊っていました。世界も認めるジャパニーズ・ホラーのツートップ、貞子と伽倻子を戦わせるなんて。これは『フレディVSジェイソン』を超えるギャグ作品ができあがるぞ、と。

こうした対決シリーズで勝敗がつかないことなんて分かっています。分かっていながら、2体がどんな理由で対決し、どんなバトルを繰り広げるのか、そしてどんな結末を迎えるのか、もうすべてが楽しみでしかありませんでした。予告編を見ると、伽倻子が貞子のビデオテープを握り潰している描写があり、「呪い勝つのはどっちだ」なんて煽り文句があるにもかかわらずフィジカル対決かよとワクワクが止まらない。

そんなわけで、待望の一戦を観戦してきたので、ネタバレありでレビューします。

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序盤~中盤は真面目なホラー

物語は貞子パート、伽倻子パートに分かれ、それぞれの犠牲者が話を展開していくのですが、ほぼ貞子パートで進んでいきます。なので伽倻子パートの主人公・玉城ティナ(鈴花役)の出番は少なめ。貞子と違い、伽倻子&俊雄は呪いにかかってから四苦八苦する余裕がないからでしょう(屋敷に足を踏み入れたら数分後には死あるのみ)。鈴花は、なーんか分かんないけど伽倻子屋敷が気になる、近所の男の子たちの行方不明もあの屋敷が絡んでいるんじゃ……?と気になっている程度の進行です。

貞子は『リング』時代よりも気が短くなっているようで、おまじないを解く猶予を2日間しか与えてくれません。この設定変更のおかげで、呪いのビデオに関わってしまった有里(山本美月)と夏美(佐津川愛美)はドタバタ。昨日まではゆるふわ女子大生の日常を送っていたのに、翌日には霊媒師に水をぶっかけられたり、ビンタをされたりと除霊に身を委ねる激変ぶり。事態が目まぐるしく展開する様子は、取り返しのつかない過ちを犯した事の重大さを認識させてくれるようで非常に良かったです。

貞子のお祓いを引き受けた霊媒師は、頭のてっぺんからつま先までエセ霊媒師臭をプンプン漂わせており、これは間違いなく返り討ちに遭うんだろうな~とか思って観ていたら実際にそうなりました。しかし実力はホンモノだったようで、夏美の中に憑いた貞子を出現させるなど善戦を見せてくれたのが私的に評価ポイント。こういう引き立て役、好きです。

今作の貞子は「邪魔する者は皆殺し」する凶暴な性格で、霊媒師とその弟子はもちろん、都市伝説研究科家で有里と夏美の大学の教授(甲本雅裕)もぶっ殺されてしまいます。教授は、貞子と対峙しても呪い殺されない持論と戦略を持っており、それを試すために呪いのビデオを視聴、霊媒師のお祓いも断わるという肝の座った良い変態キャラだったのに、貞子に取り憑かれた霊媒師からフルパワーの物理攻撃(頭突き)を受けて顔面陥没という無念の最期でした。

経蔵と珠緒の登場で中盤以降はプロレス的展開に

ザコキャラの躯が転がるなか、ついに最強の霊媒師・経蔵(安藤政信)と珠緒(菊池麻衣)コンビの登場です。霊媒師が死ぬ間際に、「もはや経蔵に頼むしかないッ」「え?あの常磐経蔵ですかァァ!!(教授)」みたいな持ち上げがあったせいで、僕はこいつらに郭春成の姿が重なったのですが、

出典:バキ

出典:バキ

経蔵は強烈な退魔法、珠緒はズバ抜けた霊感を持っており、おまけに貞子を前にしても余裕しゃくしゃくで頼もしい。特に経蔵は、刀印のようなものを結んで対象物の表面をヒュヒュヒュっとなぞって能力を発動するのですが、この仕草がダサカッコよく、奇抜なファッションがさらに厨二っぽさを際立たせます。珠緒については、霊感が優れている以外に特殊能力はない様子だったうえ、セリフが棒読みだったので早々に興味を失くしてしまいました。悪しからず。

経蔵と珠緒の登場により、それまでの、ただただ怨霊に振り回される正統派(?)ジャパニーズ・ホラーから、キョンシー映画のような妖怪退治ものに雰囲気が一転します(このあたりからホラーが苦手な人でもたぶん大丈夫)。しかし、さすがの2人でも貞子を退治することはできないため、だったらできる奴にやってもらおうということで、同じく伝説の怨霊として有名な伽倻子をぶつけようと企てます。

伽倻子パートでは、伽倻子宅が気になりすぎる鈴花がとうとう屋敷に足を踏み入れてしまいました。このせいで鈴花を助けにきた両親がソッコーで死亡(笑)。鈴花は間一髪というところで経蔵に救われます。経蔵は、今作ではアクロバティックに活躍する俊雄に霊力を込めた石を投げつけて脅すなどし、改めて能力の高さを見せつけてくれました。かっこええ(*´ω`*) しかし珠緒曰く、「伽倻子だとこうはいかないよ」。伽倻子ママさすが。

伽倻子はここまで存在は匂わせても姿は見せておらず、両作をよく知らない人は貞子よりもラスボス感を感じたかもしれません。まあ、伽倻子と俊雄は呪いのターゲットとは関係性の低い人達にも手をかける点は、貞子よりも遥かにタチが悪いのは間違いないです。貞子は基本的に自分のビデオを見た人だけですからね。ただし、複製が当たり前になった現代では呪いの拡散力は上。

貞子の呪いで自暴自棄になった夏美はここに目をつけ、動画投稿サイトで呪いのビデオの内容をアップロードするという暴挙に出ました。夏美はそのうえで、自分だけは呪い殺されたくないと自殺を試みますが、例の出で立ちとスタイルで予定時間より早く登場した貞子によって取り殺されます。……うん? 夏美って、呪いのビデオを有里に見せて、不特定多数の人にも見せて貞子の増殖に協力したから呪い解除なのでは? 今作ではおまじないの仕方が違うのでしょうか。勝手な行動を許さない2016年の貞子さん厳しい。

最終的にサイテーの行動をとった夏美ですが、すべては軽はずみな行動をとった有里のせいなのでちょっと可哀想。「こんな死に方はヤダ」と宣言しておいて、ご丁寧にそのとおりの死に方をするのは、『ジョーズ』でホオジロザメの餌食になったサム・クイントを思い出し、不憫です(コイツの場合はやや自業自得ですが)。

sam

後半からはホラー史上最高のギャグシーンへ

物語はいよいよクライマックスへ。

・貞子に取り憑かれている有里が伽倻子宅に入る
・伽倻子に取り憑かれている鈴花が伽倻子宅で呪いのビデオを見る

という作戦でお互いが両方の呪いにかかり、貞子と伽倻子を同時に呼び寄せようという作戦です。うーん、貞子も伽倻子も狙いはターゲットの死であって、どっちがどっちを殺っても気にしないのでは? むしろ共闘すんじゃね?と心配しましたが、経蔵と珠緒の読み通り、2体の化物は争い始めます。

最初に異質の存在に気付いたのは俊雄。有里と鈴花に手をかけようとした次の瞬間、「はっ!」みたいな100点の表情でブラウン管から迫ってくる貞子を確認。あっという間にテレビの中に取り込まれてしまいます。俊雄くん弱いwww

完全に出てきた貞子に睨み殺されそうになったところ、

来た・・・背後の階段から伽倻子登場!!

一瞬にして貞子を奥の方に引き込み、KOしたのか伽倻子一人で戻ってきます。貞子が負けた…!?と思ったら、復活した貞子が長い髪で伽倻子を絡めて呪いを注入。たまらず伽倻子はどろどろの血になって消滅、しかしこれはエスケープでした。

このプロレス感たまらん。
なんとなくですが、描写的には少し貞子が押しているように感じたのは僕だけでしょうか。

しかし、規格外の化物は企図したとおりに動いてくれず、作戦失敗と判断した経蔵は、最終手段として、1人を囮にして2体とも井戸に誘い込み封印するという手を選びます。どちらか1人は確実に死ぬ作戦……。となれば、有里以外いないでしょう。本人も自分のA級戦犯っぷりを自覚しているようで、進んで囮を買って出ます。

薄暗い井戸の下から空を見上げ、貞子と伽倻子を待つ有里。井戸の周囲で待機する経蔵と鈴花たち。すると2体が双方からダッシュでやってきて、井戸の上で大激突!!おお、今度こそ潰し合ったか…?!と思ったら、なんとフュージョンしやがったw

史上最悪の化物、サダカヤの誕生です。その強さは規格外。激しい霊波で封印を破壊し、これに巻き込まれた経蔵は真っ二つになって即死しました(臼井さん状態)。

出典:るろうに剣心14巻 第百十四幕「突き立てる牙」

出典:るろうに剣心14巻 第百十四幕「突き立てる牙」

おまけにテレビに引きずり込まれたはずの俊雄くんもしれっと復活。ひょっとしてこいつノーダメージだったのか? 珠緒に退魔法は使えないので、自分はもちろん鈴花も守れるはずはなく……ここでエンドロール。その後、呪いのビデオからは貞子ではなく、サダカヤが出てくるというオチで終了です。

さいごに

除霊失敗ということで、夏美がアップした呪いのビデオを見た人も全員死亡したのでしょうね。ところで、サダカヤが合体したということで、彼女はどこに住むことになるのでしょうか。伽倻子は自宅に実体に近い形で存在し、貞子は映像のなかに怨念で存在、必要に応じて具現化するスタイルをとってきました。

サダカヤになったことで、基本的には伽倻子宅で待機、映像を見た人のもとへは出張マッサージのような形で出向くのでしょうか。その場合、俊雄くんはお留守番かな? お母さんがいきなり知らないお姉さんと合体して戸惑わないんだろうか。気になってパンフレットを見てみると、俊雄役を演じた芝本麟太郎君は、

僕は、撮影中は、なんでふたりは戦っているのかなあと思いながら、見ていました(笑)。

と語っており、役者がこう言っているんだから、やっぱり俊雄も戸惑っているはずと確信しました。

そうそう、今作をきっかけに、すごく懐かしくなってリングを見てみたのですが、最初に殺される女子高生ってこれ……

ring

ring1

竹内結子! 若い!!

ring2

佐藤仁美! 若い!! 細い!!!

二人とも可愛いくてびっくり。個人的には山本美月にも負けてない(笑)。

 - 鑑賞