Wキャストの無駄遣い!韓国映画『アンダードッグ 二人の男』のネタバレ感想

Wキャストの無駄遣い!韓国映画『アンダードッグ 二人の男』のネタバレ感想

SHINeeのミノと”マブリー”ことマ・ドンソクのW主演で話題を集めた作品。原題は『두 남자(二人の男)』であり、アンダードッグとは”負け犬”のことをいう。負け犬の二人は、立場は違えど「大切な人を守る」という共通項がある。

……が、その程度の共通項なら私にもあるので、私も加えて『三人の男』で作り直してくれないか。ついでにかわいい彼女役もお願いしておく。

などという文句を言いたくなるほど、この映画の作り込みには首をかしげる点が多く、ミノとマブリーのファン以外は楽しめない作品だと感じた。

2018/韓国
上映時間:92分
監督:イ・ソンテ
出演:ミンホ(SHINee)、マ・ドンソク、ほか
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あらすじ:違法カラオケ店を運営する悪徳業主ヒョンソク(マ・ドンソク)。窃盗を日常的におこなう家出族のリーダー、ジニル(チェ・ミンホ(SHINee))。ヒョンシクがジニルの恋人を強制的に捕まえると、すぐにジニルはヒョンシクの娘を拉致する。
ジニルとガヨンは家出した10代の少年、少女だ。彼らは家出した子供たち同士、家族のように過ごし、配達のアルバイトに時には窃盗をはたらき暮らしている。生活費が底をつくと彼らはガヨンを前に出して中年男をモーテルに引き込む。ガヨンは売春をするかのように男を誘惑するが、男の金を奪うのに失敗する。反対に男はガヨンを人質にジニルに金を用意するよう脅迫する。男は家出少女たちをカラオケ店で働かせる業主だったのだ。ジニルはこの男の手からガヨンを救い出せるのか?

ジニルは情の厚さが取り柄だけれど…

二人の男というタイトルがあるのだから、W主演の二人に注目したい。

まずはジニルだ。少年院あがりの孤独な若者で、仲良し4人組のリーダー格である。しかし腕っぷしは弱く、頭も特別に切れるとは言えない。盗難車両を売り払う”シノギ”に失敗したのは、彼の能力不足にあると私は見た。

長所は仲間想いなところ。特に、想いを寄せるガヨンを危険にさらすのは許さない。仲間の一人が「男をホテルに誘って財布を盗むとかどうよ?」と提案したときは、万が一のリスクを考えてひどく立腹していた。

ジニルにとっての安息の場は仲間がいる場であり、そこにガヨンは欠かせない。辛い過去を持つ彼だからこそ、好きの感情が純粋で一途なのかもしれないが、ガヨンに対する執着は異常に感じた。底意地の悪い見方をすれば、「お前は俺が守る!」の押し付けにも。とにかく、そこまでの気持ちがどこからやってくるのか、最後までよく分からなかった。

良いところはもう一つある。圧倒的なビジュアルだ。窃盗や万引などを繰り返してその日暮らしをしている割には清潔感がすごい。逆を言えばリアリティに欠けるのだが、見ていて気分が良い。ヒョンソクは、ぶっちゃけ微妙なガヨンではなく、ジニルを捕まえてホストに仕立て上げたほうが稼げたのでは?

以上をまとめる。

  • ジニルはガヨンが好きでたまらない(なぜそこまで惚れているのかは不明)
  • 裏社会で生きるには才能が足りない
  • ビジュアル100点

あのストーリーから私が読み取れたのはこれくらいだ。

ヒョンソクは腕っぷしが強いだけの一般人+α

カモにしてはいけない相手、それがドンソク兄貴演じるヒョンソクだ。常人離れした剛力で繰り出すパンチ力は凄まじく、大抵の相手は2、3発で戦闘不能に陥る。ガヨンがジニルの言うことを聞かず勝手なことをしなければ出くわさずに済んだのに……。

さて、ヒョンソクは裏社会に足を突っ込んではいるが、モノホンのヤクザというわけではない。愛する家族を守るために仕方なく(?)違法な金稼ぎをしているという設定である。ゆえに、ヒョンソクは腕っぷしは強いものの、筋モンのように残忍なことはしないし、裏社会に権力を持つわけではない。違法な商いに足を突っ込む一般人レベルで、そのような人は実は意外にいる。

以上をまとめる。

  • ヒョンソクは喧嘩無双
  • 娘を溺愛
  • 捜査からガラをかわすなど素人ではないが本職のヤクザでもない

盛り上がりにかけるのは二人の男が半端者だから

ジニルに特筆すべき過去や能力はなく(描かれておらず)、ヒョンソクは半グレにも劣るちょい悪犯罪者だ。主人公の二人が半端者なのだから、彼らがどう絡んでも盛り上がりに欠けるのは仕方がない。

ジニルを付け狙うソンフンはなかなかの存在感があったが、やはり深く描かれていないため彼のヤバさが伝わらない。金持ちのボンボンが道を外して悪さをするのはありふれた設定だし、ヒョンソクにボコられて一度は下を向いた点も頂けない。

敵にしては実力がぱっとしないのだ。ソンフンが本当にイカれた、相手にしてはいけない奴ならそのような描写がもっと欲しかった。顔芸だけじゃなくて。

ラストは賛否が分かれているが、ソンフンが復讐する気満々なのは明らかなのだから、ジニルができるのは道連れくらいしかなかったのではないか。あの手の輩は殺す以外に手段はない。『美味しんぼ』の山岡士郎ならうまい物を食わせて改心させるかもしれないが、残念ながらジニルが料理上手な描写はない。

さいごに

ジニル亡き後、ガヨン、ボンギル、ミンギョンはどうしたのだろう? ボンギルはジニルとは仲良しだけどガヨンとはただのツレ程度に見えるし、ミンギョンは「ガヨンが身体を売ればいい話」と見放している。

決別したにせよ、ジニルの死を無駄にせず、健全に生きてほしい。清々しいほどベタな食い逃げをするのはあれで最後にするんやで。

アマプラのほかの韓国映画(こういうの)で口直しすることにする。

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