「未経験可」の求人広告でライターに採用される確率とその案件の質について

公開日:2014/04/11 更新日:2020/10/01

未経験からライターになる方法は大きく分けて2つです。
求人広告の募集に応募するか、いきなりフリーランスとして活動するか、です。

手っ取り早いのは後者でしょう。デザイナーでもイラストレーターでも同じですが、資格も何も必要ないので、自分で名乗ってしまえば誰がなんと言おうと「ライター」です。

もちろん、それで生活していけるかどうかは別。いきなりフリーランスになるのはリスキーだと思います。ちゃんと生計を立てていける人もいるにはいますが、よほど能力が高いか、環境(運)に恵まれた人なので、個人的にはあまりオススメしません。

ここは手堅く、求人広告でライターの募集案件を見つけて応募しましょう。あなたが新卒なら、よりそうするべきです。一生に一度の最強のアドバンテージを有効に使わない手はありません。

会社に入ればいろんな仕事にかかわれる可能性が高いし、先輩ライターから技術を盗むこともできます。他職種のクリエイターもいる職場なら、作品づくりの工程から納品までを総合的に学べるでしょう。

求人広告で「未経験可」の案件を探す

未経験者も募集している案件を探すのはそう難しくありません。「ライター」「未経験」のキーワードで検索すればすぐに出てきます。問題は、そこに未経験者が応募して本当に相手にしてもらえるのか?と、未経験者を募集しているような会社でどの程度実力を磨けるのか?だと思います。

「未経験可」で未経験者は相手にしてもらえるのか?

少し古いですが、転職サイト大手のリクナビNEXTが2010年に行ったアンケート調査によれば、2009年春〜2010年春頃の未経験者採用実績は75%でした。人事採用担当者100人のうち、業界未経験者を採用したと答えた人は57人、職種未経験者を採用したが49人です(複数回答)。

未経験者採用実績についての質問
質問 回答数
業界未経験者を採用した 57人
職種未経験者を採用した 49人
全くの未経験者を採用した 34人
直近1年間は未経験者を採用しなかった 25人
その他 1人

※リクナビNEXT「採用担当者100人に質問!今どき未経験者採用の実態を参考に筆者が編集 

この結果から、求人広告における「未経験可」は決して嘘ではないことがわかります。もちろん業界や職種により差はあります。上記のアンケートでも、初めから専門的な力がないと仕事が務まらない業種・職種の未経験者採用実績は低かったようです。

ライターも基本的には即戦力が求められますから、誰でもウエルカムという空気ではありませんが、未経験だからこそ評価されるポイントが2つあります。

1つは、クセやこだわりがないこと
もう1つは、伸びしろが計り知れないこと

経験者には、それまでの執筆歴で付いたクセやこだわりが必ずあるものです。これが応募先の担当者と合わないとき、たとえ戦力になりそうでも嫌われかねません。
さらに厄介なのがプライド。「このスタイルでやってきた」「評価されてきた」というプライドは、アピールになることもあれば、鼻につくこともあります。イヤな感じに映れば「ウチとは合わないな〜」とお見送りされることになるわけです。

伸びしろの評価ついても経験者だと不利になるケースがあります。過去に執筆した作品を見て

「経験者なのにこの程度か」

などと思われるからです。まあ、これは自分の能力不足のときもあれば、たんにその会社や担当者と合わなかっただけのときもあるのですが。

その点、未経験者はできなくて当たり前なので、その時点での文章力よりもフレッシュさや情熱さなどが加点され、将来の成長度に投資してもらえる可能性が高くなります。

このように、未経験者には未経験者なりのアドバンテージがあり、こうした点を評価してくれる担当者は広告・出版業界にもたくさんいます。

未経験者を募集しているような会社で実力は磨けるのか?

私も求人広告の経験があるので少しわかりますが、求人のコピーにはちょっとした裏があるときがあります。よく知られていますよね。「若い世代が活躍している職場です」は、中間層が残らず職歴の浅い人しかいないことの裏返しとか、「アットホームな職場です」は、他に書くことがないとか、そういうやつです。(すべてがそうだと言ってるわけじゃないですよ ^^;)

「未経験」のキーワードが使用されるときは、閲覧者数や応募者数の底上げが狙いのときがほとんどですが、他に、誰でもできる仕事だから未経験者可と書いている場合もありますライターと呼ぶには程遠い、常識的な国語力があれば誰にでも務まるような求人が事実あるのです。

何事も経験ですから、ライター業界の第1歩として踏み出すのも良いかもしれませんが、私はあまりオススメしません。大して糧になるとは思えないですし、いずれ転職する際に不利になるかもしれないからです。前項で述べたように、経験者は経験者のレッテルを貼られるため、 前職で培ったものがホンモノでないと苦労する可能性が高いです。

どうせ入るなら、きちんと成長できそうな会社を選びましょう。求人広告のPR文面はもちろん、募集元の会社サイトやそれまで手がけてきた仕事などをよく観察すれば、誰でもできそうな仕事か、努力しなければできない仕事か、なんらかの差を感じられると思います。

そして「こんな仕事がしてみたい!」と思える会社に応募してください。未経験の募集案件でもそのような会社は必ずあります
もちろん、手当たり次第応募するような積極性は必要ですよ。ただ、数撃ちゃ当たる作戦で仕留めた獲物が良いものだとは限らないので、慎重になるに越したことはありません。

おわりに

未経験者だった頃の私は、「未経験可」の求人広告にすがる一方、その求人の質については考えていませんでした。無事、良い社長に拾ってもらえましたが、ハッキリ言ってただ運が良かっただけです。

なお、「要経験」の求人でも、どうしても入りたい会社なら応募してみてもいいと思います。面接に呼んでもらえる可能性がないわけではありませんし、落とされてもダメで元々ですしね。

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コウカ(kouka)
ライター事務所「k-note」代表。カメライター、フォトライター、漫画原作者。写真と落書き漫画を交えて文章を書くのが好き。詳細プロフィールはこちら、仕事の実績確認・ご依頼はこちらからどうぞ。

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