最近はライター志望の学生さんにライティングを指導したりしています。
当然、上手い方もいれば、数行読んだだけでどっと疲れが出てくるレベルの方もいるわけですが、そんな方々でも、書く前に守って欲しいことをひとつだけ教えたら結構上手になってくれました。
別に大した方法ではありませんが、これさえ実践すれば何が言いたいのか分からないふわっとした文章にはならないはずです。
文章力がないとはどういうことなのか
文章力がないとは構成力がないということです。「誰でも文章が劇的に上手くなる上達法!」的なエントリーには、文体がどうとか、漢字を少なくだとか、「そして」を連発するなといったコツがよく書いてありますが、土台となる構成力がないままそうしたコツだけを身につけてもあまり意味がありません。
「どう書くか」ではなく「何を書くか」をきちんと整理することが大切だからです。私が思うに、文章が下手な人はこの整理が苦手で、何を伝えたいかの優先順位をしっかり区別して書けばそれだけで中身のある文章が出来上がります。
そこで私が学生さんにアドバイスしたのが下記です。
mustとwantを明確に区別する
必ず伝えるべきこと=「must」と、伝えたいこと=「want」を区別して優先順位を付けるよう指導しました。大切なのは、頭のなかでぼんやり決めるのではなく、しっかりとメモとして書きだして常に見えるところに置いておくこと。具体的なやり方はなんでもOKです。紙の真ん中に縦線を1本引き、左にmust、右にwantを並べる等でもいいでしょう。
【例】
あるデザイン系専門学校の紹介文を頼まれたとして、以下のような特徴があったとします。
- 現役デザイナー講師が多数在籍
- キャンパスがきれい
- 駅から徒歩5分
- 最新機器を配備
- 校長にカリスマデザイナーA氏
- 即戦力を育てる実践カリキュラム
- 社会人入学も積極的に実施
- 就職に強い
- 学費が良心的
- きめ細かな少人数制
これを以下のように優先順位を付けます。
【must】
- 校長にカリスマデザイナーA氏
- 現役デザイナー講師が多数在籍
- 就職に強い
- 学費が良心的
- 駅から徒歩5分
【want】
- キャンパスがきれい
- 最新機器を配備
- 即戦力を育てる実践カリキュラム
- 社会人入学も積極的に実施
- きめ細かな少人数制
上記はあくまで一例として区別しただけですが、この整理さえ見誤なければ記事の60%は完成したといえます。後は絶対に伝えるべきmustの項目をきちんと押さえ、wantは「可能であれば書く」程度で構成していくといいでしょう。間延びしたりまとまりが悪くなるくらいなら、wantは削ったって構わないということです。
日本語が(多少)マズくてもOK
日本語として誤りのない文章や細かな表現技術はできるに越したことはありませんが、読者にとって読みやすい文章を書くことより、伝えたいことが明確に見て取れる文章を書くことの方が心に響きます。
料理に例えると、「伝えたいこと=料理の味」「読みやすい文章=盛り付け」くらいでとらえると分かりやすいかもしれません(ちょっと無理やりですが・・・笑)。
それに、細かな日本語力は練習を重ねていけば誰でも一定の水準に達することができます。こなれた表現テクニックを使うのは土台を築いてからでも遅くありません。文章に限ったことではありませんが、何事も基礎が大切だということです。
最後に
なんだか偉そうなエントリーになってしまいましたが、ライター入門者の方には役に立つかもしれないなと思って書きました。mustとwantの選別にはじっくり時間をかけていいと思います。そこが文章の肝になってきますからね。
※ちなみにライタースクールの講師をやっているわけでないので専門家の方々による鋭利な突っ込みはスルーさせていただきますm(__)m
【追記】
Twitterやはてぶで予想以上のコメントを頂きありがとうございました。ところどころ頂いた辛口のご指摘もしっかり受け止めております^^;まあ確かにいろいろはしょりすぎた記事ではあったな…。しかしこの方法、元編集者の友達も先輩から教わったことがあるそうで、もしや業界では有名なのかも?既に書き慣れている人には必要ないと思いますので、あくまで入門者の方のお役に立てればと。
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