「100回のシュミレーションより1回の実戦です!」
『ワンダ 金の微糖』のTVCMで、織田裕二さん演じる若手社員が、山崎努さん演じる役員に自分の信念をアピールするセリフ。しかしすかさず、「正しくはシミュレーション」と細かいところを突っ込まれます。
職業柄、脊髄反射してしまいましたが、こういうネタがオチに使われるほどに、皆さん表記ルールに関心を持っているのでしょうか。
シミュレーション(○)とシュミレーション(×)に代表される表記ルールで、「どっちだったっけ?」と迷ったときに役立つのが用字用語集です。出版社に勤めていたときは、朝日新聞の用字用語集に改良を加えた社内ルールに従っていましたが、現在の職場にはそんなものがないので、僕は共同通信社の『記者ハンドブック』を自分ルールの一部として適用しています。
※現在は第13版が販売されています。
表記ルールの具体例
たとえば、こんなルールが決められています。
■カタカナ英語の表記規則
- コンピューター(○)コンピュータ(×)
- サーバー(○)サーバ(×)
- エンターテインメント(○)エンターテイメント(×)
■漢字と平仮名の使い分け
「とも」
- 行動を共にする、自他共に認める、共食い、共働き
- 〜するとともに
■数字の書き方
数量や順序などを示す場合は原則洋数字、慣用句や、特定の事物・概念などを表す場合は漢数字を用いる。
- 10月5日午後14時ごろ
- 第二の人生
- 非核三原則、日本三景
■登録商標の言い換え
- チキンラーメン→即席ラーメン
- パンパース→紙おむつ
- サランラップ→ラップ
文章を書く機会が多い人にはおすすめ
登録商標の言い換えはともかく、他は別にどっちでもいいんじゃね?と思うものも多いのです。しかし、1つの原稿内で表記揺れがあると気持ち悪いため、ライターでなくとも文章を書く機会が多い人には役立つ本だと思います。
ライターとして活動する人は、掲載されるメディアにもよりますが、ある程度の共通した表記ルールは知っておいたほうがいいでしょう。ランサーズなどで比較的経験の浅い(と思われる)ライターさんの原稿をチェックしていると、必ずと言っていいほど表記ルールに違和感を覚えます。接続詞などにもやたら漢字を使いたがるとか……(例:「更に」「即ち」「及び」「且つ」)。
もちろん、用字用語はあくまで目安なので、「ルールの共有がないところで書いてきたんだな〜」と思うだけなのですが、そういう印象を与えるのも、なんだか損だと思うんですよね。
さいごに
用字用語は、誤解なく・読みやすく伝えるためにあるものですから、適度に参考にするとよいと思います。でも、主題がぶれず、読み手を意識した構成ができていれば、ちょっとやそっと表記がおかしかったり、統一ができていなかったりしても構わないというのが持論ですけどね。
なお、紹介したように、僕は新聞記者用の用字用語集を使っていますが、公用文作成用や一般書用などもあり、興味のある人は一読するといいでしょう。