正月早々からこんなクズ漫画を読んでましたよ。
タイトルのとおりのダメダメな主人公・向井和也が、死の瞬間になぜか小学生時代に生まれ変わり、初恋のアンナのために「やりたいこと」を実行していくという内容です。タイムスリップものですね。
タイムスリップを題材にした漫画は昔からいくつかあります。有名どころでは『JIN-仁-』とか、連載中の漫画で注目なのは『僕だけがいない街』とか。
冴えないながらも1度目の人生経験を活かして2度目の人生を謳歌する。その点では、あの伝説のタイムスリップ漫画『エンブレムTAKE2』と似ています。
しかし、2度目の人生こそ「本物の男」を目指し組員や宿敵たちと共に成長していった阿久津丈二に対し、和也は、2度目の人生でも早々に自分の無価値に気付き、開き直って「好き勝手」生きることを決意するところが大きな違い。
和也の最終目標は、アンナを強姦すること。 その過程で、将来アンナと結婚する予定の親友を陥れたり、いじめっ子の同級生を罠にはめて結果的に殺害したり、自分に好意を寄せてくれている同級生を手篭めにしたりとやりたい放題。読んでいて胸くそ悪くなる誰得漫画なのですが、スピーディで、いい意味で分かりやすいフラグがあって読みやすく、なかなか面白い。決して上手くない絵もなかなかマッチしています。
身体は小学生でも頭は大人の和也の策略にはまりそうになるアンナですが、物語のキーパーソン・外海いづるの登場によって和也の計画は破綻します。
まだ2巻までしか読んでいないのでハッキリしたことは分かりませんが、外海は和也と同類のタイムスリッパー。和也が滅茶苦茶にしたせいでできた未来の住人で、歴史を修正するためにやって来たのでしょう。バック・トゥ・ザ・フューチャー2で大金持ちになる予定のビフからスポーツ年鑑を取り返すマーティみたいな役割だとふんでいます。
実は、1巻の第2話で大人の和也が何者かに刺殺される描写が既に描かれており、最終話で和也が罰を受けるのは間違いないと思いますが、和也は和也で抵抗しないわけがなく、どんなラストになるか楽しみです。
読んでいて私的に唯一の救いというか、安心するのは、和也の腕っ節が弱いところですね。女の子の外海に簡単に負けるし、同級生に脅されたらすぐに白旗あげるし。女を汚す最低のクズがさらに暴力も振るうとなったら気分悪すぎですから。読者が愛想をつかさない最後の砦な設定だと思います。
《5/15 追記》3巻(完結)が出ました
先日、最終巻が出たので早速Kindleで購入。前述で、唯一の救いは和也が女に暴力を振るわないところと書きましたが、前言撤回です。3巻の和也は非常に好戦的かつ短絡的で、角材でいづるに殴りかかったり、同級生の女の子をカッとなって撲殺したりします。
そしてついにタイトルの本当の意味が明らかに。「生まれる価値のなかった」とは和也のことを言っているのかと思いきや、実はいづる(の中に宿っている魂)のことだったんですね。
クズの和也がどんな最期を迎えるのか? 非常に面白かったのでラストのネタバレは控えることにします。
以上、万人には勧められませんが、興味があればどうぞ。