ヒロインは誰?韓国ドラマ「コーヒーハウス」全18話のネタバレ感想

公開日:2014/12/19 更新日:2021/10/22

Huluで配信しているのを知ってなんとなく観ていたらハマったドラマ。2010年なので随分古いです。韓国では、それはそれは低視聴率だったらしく、全20話の予定が18話に縮められたそうですが、僕は楽しく拝見しました。

このドラマの見どころは、最後のほうまでヒロインがスンヨン(ハム・ウンジョン)か、ウニョン(パク・シヨン)のどっちか分からないところ。

もっと言うと、初めの数話はスンヨンとジンス(カン・ジファン)が結ばれるためのストーリーに見えたのに、中盤あたりからキャラが勝手に動き出すように話があちこちに散らばり、最終的には奇跡でも起きない限りスンヨンの恋は実らない展開に。予告編の作り方を見ても、ヒロインはスンヨンという扱いなのに「このままだとジンスに1度も相手にされないままエンディングを迎えてしまう!」とヤキモキさせられました。

[youtube https://www.youtube.com/watch?v=bSL2v4IIImE]

では、ざっとしたストーリーと共にスンヨンに焦点を当てて感想を述べます。

ストーリーと雑感

職なし、金なし、男なしで未来になんの展望もないカン・スンヨン。実家の喫茶店を手伝い、たまにくるお客さんにコーヒーを作るというしがない毎日を過ごしていたスンヨンのもとに、イベントに出席するのが嫌で逃げ出して来た売れっ子小説家・イ・ジンスが来店するところから物語が始まります。

イケメンで紳士なジンスにスンヨンは最初からメロメロ。というか、イケメンにメガネの組み合わせって反則過ぎますよねこれ。

共通の知り合いの計らいでジンスの秘書になることが決まったスンヨンは、胸を弾ませて出勤しますが、「鉛筆を削る」「コーヒーを淹れる」という簡単な仕事ですらジンスに認めてもらえず(というよりこだわりが強すぎる)、毎日毎日怒られっぱなし。妙な仕事を押し付けられるわ、気分で解雇されるわで、常人ならストレスがマッハになるところですが、スンヨンは持ち前のど根性で「プロの秘書になってみせる」と宣言します。

不器用ながら真っ直ぐぶつかってくるスンヨンを見て、次第に心をほぐしていくジンス。「絶対にできっこない」と断言していた鉛筆削りも、スンヨンはジンスがやるのと違いない程の削り方をマスターします。そして、いつも厳しく意地悪なジンスが、時にスンヨンの長所を素直に褒める・・・。このツンデレぶりにスンヨンの心が奪われるまでそう時間はかかりませんでした。

この辺りまでは、天然でノーテンキでどちらかと言うとダメな女子が、目標に向かって頑張ることにより女性としても人間としても成長し、いつしか主人公のハートを射止めるんだろうなぁと。なるほどなるほど、ありがちだけど感情移入してしまうストーリーだなぁなんて思っていました。話の展開の仕方がやや退屈な部分もあるのですが、スンヨンのキャラも顔もドストライクだったので無問題。

……ところが、どうもジンスはスンヨンに興味がない。「合宿」と銘打って、同じ部屋でスンヨンと寝るなどのビッグイベントもあるのですが、「君は女じゃなくてモノだ。いや子犬に格上げしとこう」なんて言い放つ始末。

どうやら、彼は学生時代の友人で仕事のパートナーでもあるソ・ウニョン(パク・シヨン)のことが気になるみたいなんですよね。

ウニョンとはいつも口喧嘩ばかりしていますが、なんだかんだ言ってお互いが1番の良き理解者という関係。ウニョンもジンスのことが好きなのは間違いありませんが、強気の性格などが災いしてなかなか素直になれません。また、ジンスの自殺した元奥さんがウニョンの親友という複雑な過去も障壁となって、ジンスは確たる意志で一線を置いている感じです。

スンヨン最大の失敗は、この2人が互いに惹かれ合っていることを理解していなかったこと。無理もありません。恋愛感情があるようには見えないし、学生時代からの友達ということで腐れ縁的な雰囲気も漂っているし。しかし運命の選択肢とは悲しいもので、結果的にはスンヨンのお陰で2人の間にあった溝が埋まり、ジンスとウニョンは急接近します。

ここでようやく、ジンス・ウニョン・スンヨンの三角関係ができあがりますが、スンヨンはジンスに相手にされていないし、ウニョンはスンヨンの気持ちに気づいていないどころか、「ただの秘書さん」レベルに思っているので、物語の核である恋愛からスンヨンの姿だけが遠ざかっていきます。スンヨンはスンヨンで、方言を使うバリスタにアプローチされたりもしますが、ジンスが好きなのでほとんど相手にしません。この方言バリスタはラストまでスンヨンのアッシーくんをやるのが精一杯で、私的に最も可哀想な奴でした。

結局、ジンスはウニョンを大切に想いながらも、ハッキリとした態度は見せず、執筆を終えたのを機に海外に雲隠れします。「これが永遠の別れ」と心に刻み涙を流すウニョン。仕事場が突然のもぬけの殻で放心状態のスンヨン。……なんとも罪な男です。

-2年後。

ジンスが放浪の旅から、ザ・韓流スターみたいな格好になって戻って来ます。前のほうがカッコイイとは思いますが、元がいいので何をやっても様になりますね。

ジンスの帰国理由は、ウニョンにプロポーズするため!これを決心するのに2年かかったといい、結婚指輪もバッチリ準備。そしてウニョンに「とびきり驚くようなニュースがある」と告白しようとしますが、ウニョンはウニョンで「私もあるわよ」と切り返し、これがなんと、ウニョンにしつこく言い寄っていた元婚約者のハン・ジウォン(ジンスの先輩)と結婚するというニュースだったからびっくり。

まあ、2年も放ったらかしだったから自業自得なのですが、ジンスは動揺を隠せません。だから、「あなたのニュースはなんだったの?」というウニョンに対し、「彼女ができた」と嘘をつきます。「じゃあ彼女も一緒に4人で食事しよう」なんて展開になったから、ジンスは苦し紛れにスンヨンを彼女役に抜擢します。

なるほど!こういう展開でスンヨンのターンがくるのかっ!

ありがちといえばありがちだけど、応援してる側としては嬉しい流れだぞ!

2年後のスンヨンは、ウニョンの紹介でラジオ局で構成作家をやっていました。ここにきてようやく、この人がT-ARAのメンバーだったことを認識。どうりで見たことあると思った・・・。

スンヨンは偶然ジンスと再会し、相変わらずの嫌がらせを受けながらも、自身の成長ぶりを褒められて喜んでいました。そこに突然、彼女役をやってくれという嬉しいお願い。引き受ける代わりに、ジンスがスンヨンの担当番組にレギュラー出演するという約束をこぎつけましたが、お芝居とはいえ、憧れの人との恋人関係にスンヨンの心は踊ります。

回にすると1~3話だったと思いますが、スンヨンが作中で最も幸せだったのがこの辺りではないでしょうか。携帯の電話帳も「先生」から「ジンスオッパ~♡」に変えたりしてノリノリ。ウニョンがはめるはずだった婚約指輪をはめ(このときスンヨンは事情を知らない)、恋人同伴の食事の席などで立派に彼女役を演じます。酔っ払った勢いでジンスにキスしたりもします(←後でめちゃくちゃキレられる)。

バリスタ男に再度言い寄られたときも、「恋人ができました」「相手は……先生です」と嬉しそうに指輪を見せるシーンは完全に乙女でした。

しかし、このお芝居は程なくしてばれ、ウニョンにもジウォンにも、ジンスが帰国してきた本当の理由も知られます。「もういいから」なんて冷たくいい放つジンスに、スンヨンはたまらず「先生のことが好きだからお芝居ができた」なんて言ってしまいますが、ジンスの心は……。

最終話、ジンスはウニョンとジウォンの結婚式に乗り込み花嫁を奪う……のではなく、出席していた出版社の悪徳社長を殴る蹴るして式をぶち壊します。ジンスはこの社長の悪行を世間にバラまく方法を画策していたわけですが、その場に選んだのが結婚式だったというわけです。

迷惑な奴!これにはさすがにジウォンの気持ちになってしまいました。ジンスは逮捕されますが、緻密に計画した作戦が功を奏しあっけなく釈放。ウニョンとは、弁護を手助けしてくれたことを前提に実質的な終身契約を結び、面会室で婚約指輪をはめます。面会室でのプロポーズ・・・。

これにてジンス・ウニョンカップルの成立確定。

やっぱりスンヨンを好きになることはなかったのか・・・。ジンスは再び海外に発つ前に、第1話のようにスンヨンの店を訪れます。一生かかっても書ききれないほどの長期契約を結んだ、それがウニョンとの結婚を意味すると理解したスンヨンは、失恋を実感してジンスを前に大泣き。「すまない…」としか言えないジンス。

ジンスは、スンヨンが小説の舞台にしていたガラパゴス行きのチケットをプレゼントし、「想像だけじゃ足りない」「実際に見て感じて来い」と最後の最後まで先生であり続けます。スンヨンとジンスはあくまで師弟関係。ジンスは側にいてくれる愛しい人ではなく、自分を成長させてくれる尊敬する師。そんな位置づけで物語が終了しますが……

ホントに最初からそんな脚本だったのか?!

というわけで、まさかの本命ヒロインが全話を通して主人公に見向きもされないまま終了するメロドラマでした。まあ、相手にその気がなければどんなドラマチックな展開も意味がないとは、ある意味現実みたいでいいとは思いますが。

評価としては低くないので、もし興味があればぜひ。

さいごに、タイトルのコーヒーはさほど物語に絡んでこないので特にふれませんでした。なぜこのタイトルにしたのか不明。。。

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コウカ(kouka)
ライター事務所「k-note」代表。カメライター、フォトライター、漫画原作者。写真と落書き漫画を交えて文章を書くのが好き。詳細プロフィールはこちら、仕事の実績確認・ご依頼はこちらからどうぞ。

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