13日の金曜日は回を重ねるうちにギャグ要素が増していくそうですが、特にジェイソンファンでもない僕にとってはよく分かりません。
ただ、このPART7だけが常軌を逸していることはハッキリと分かります。毎回人々を恐怖のどん底に陥れるジェイソンですが、同作ばかりは立場が逆。主人公の美少女ティナに為す術もなくボコられてしまうのです。副題の『新しい恐怖』というのは、ジェイソンが化け物になって初めて感じたティナへの恐怖心だったんですね分かります。
1988/アメリカ 上映時間89分
監督:ジョン・カール・ビュークラー
脚本:ダリル・ハネイ、マヌエル・フィデム
出演:ラー・パーク・リンカーン、ケイン・ホッダー ほか
クリスタルレイク付近で暮らす少女・ティナは、生まれつき超能力を備えた少女であったが、両親が夫婦喧嘩をした日の夜、ティナは家を飛び出してしまい、誤って追いかけて来た父親を超能力で湖の底へと沈めてしまう。それから数年後、クリスタルレイクへ戻ってきたティナは、父親を生き返らせようと、父親の沈んだ湖に向かって念力を放つ。しかし出てきたのはティナの父親ではなく、トミーによって湖へと沈められた殺人鬼・ジェイソンであった。次々とキャンプ場に訪れた若者達を殺害していくジェイソンに、ティナは自らの超能力を駆使して立ち向かう。
ティナ、まずはDV親父を軽く始末
ティナは幼い頃から凄まじいサイキックパワーを持っていますが、己の能力をあまり自覚しておらず、当然コントロールすることもできず、感情が高ぶったときなどに無意識に発動させます。
そんなティナ様を最初に怒らせたのは、酒に酔って妻に暴力を振るうDVの父親でした。
「大嫌い!パパなんて死んじゃえ」
そう叫んでティナが何かに集中した瞬間、湖に異変が起こり、足場が崩れたDV親父は呆気無く転落。クリスタル・レイクに沈み帰らぬ人となるのでした。
親父に非があるのは間違いないのですが、彼は怒ったティナをなだめてはきちんと謝罪しており、殺されるほどのことをしたかと思うと疑問符が……。
ティナはティナで、故意ではないにしろ父を殺めてしまった自分を呪い、深いトラウマを抱えてしまいます。それは大人になっても癒えず、無神経な精神科医に蒸し返されたこともあって、彼女はクリスタル・レイクでこう念じます。
「パパお願い、生き返って…」
これに呼応して復活したのが、
ジェイソンさん!
ティナのザオリクはイカれたホッケーマスク野郎に効いてしまったのでした。
再び人を殺めそうになるティナさん
ティナはジェイソンが災いをもたらすことを予知能力で察知。母と主治医にその危険性を訴えますが、もちろん聞く耳を持たれません。その間、ジェイソンは自分の仕事を着々に実行。クリスタル・レイクに遊びに来ている若者たちを消していきます。
ティナの味方は、彼に下心好意を寄せるイケメン彼氏候補のニックだけ。仲間たちとの間では、同じく彼を狙う底意地の悪い少女に精神病患者であることをからかわれ、怒りで感情が高ぶったティナは超能力で性悪女を絞め殺そうとします。
が、さすがに我に返り、ネックレスの破壊だけに留めました。
ティナは、もう少しで再び人を殺めてしまうところだったと後悔し、母と主治医にクリスタル・レイクから離れたいと懇願します。しかし主治医は頑なに許してくれず、しかも激しく怒鳴りつけるので、ティナも錯乱してサイコキネシスでテレビを投げつけます。
精神的に追い詰められたせいか、少女に仕掛けたより明らかな敵意を向けたティナ。
宿敵・ジェイソンとの決戦を前に体が温まってきましたよ。
いよいよモンスター同士の対決
ジェイソンは、ティナのママをはじめ、多くの人々をその手にかけていきます。精神科医も殺されました。まあ、コイツはティナのママを盾にして逃げるクズ野郎なのでやられて当然。もしティナがその事実を知ったら、怒髪天を衝く形相で天変地異を起こしていたでしょう。
ティナは、ホッケーマスクをかぶった変なおじさんが、世間を騒がせたあのジェイソンだと知ります。
そして両者がついにご対面!
愛するママを亡き者にしたジェイソンだ!(ホントは医者が悪いんだけど)
「ジェイソン…!」
まずは電気ショックの刑!
しかし、過去作で雷をくらって以来、電池のような体質になったジェイソンに電流攻撃は効きません。ダメージゼロで起き上がり、執拗にティナを追いかけます。
するとティナ、
サイコキネシスで植木をあてるw
電球を落とすw
と、なんだかホーム・アローンを思い起こさせるコミカルな戦法で撃退。そしてニックがピンチに陥ると、
マスクを締め付けて割る!
電球の紐で絞首刑!
挙句の果てには、ガソリンを浴びせまくってからの着火!
まさにフルボッコ。ジェイソンさん、本当に手も足も出ません。
この火は何かに引火し、家が大爆発するという大惨事に発展。ほうほうの体で脱出したティナとニックは、燃え盛る炎を見つめ、さすがのジェイソンも息絶えたろう……とホッとしたのもつかの間、
ティナの背後からジェイソンが!
力任せにティナを投げ飛ばすジェイソン。もともと怖い顔なのですが、どことなく怒っているようにも見えます。
さあ、ようやくジェイソンのターンかと思いきや、ここでティナは最後の念力。するとクリスタル・レイクの湖から泡が吹き出し……
湖の中からDVオヤジ復活www
パパ生き返って…がここに来てようやく通じたようです。蘇ったパパはすかさずジェイソンに襲いかかり、水中に引き込んでTHE ENDです。
さいごに
当時でも今でも、こんなに素晴らしい展開のホラーはそうないと思います。ホラー映画のチートモードの主人公といえば、バイオハザード3のアリスが思い浮かびますが、ティナは次元が違いますね。
ぜひもう一度ティナを主人公に新作を作って欲しいです。