ポジャンマチャ(포장마차)をコンセプトとする飲み屋が京都にオープンした。場所は京都駅から徒歩約10分の七条新町。七条烏丸から新町通り方面に歩いていくと、西側にどこでもドアみたいなショッキングピンクが目に飛び込んでくる。
京都の景観に一ミリもマッチしていなくてすごい。そしてこの外観からターゲットは明らかに女性。僕のようなおっさんは歓迎されていないはずだ。幸い、この日は女性と一緒だったので堂々と門をくぐれるがな。
店内の雰囲気
我々が通された2階はこんな感じ。本場の雰囲気を醸し出すビニールシート(風の壁)とカラフルな椅子。もちろん本場の屋台はもっと小汚いが、日本で腰を落ち着けて飲むにはこれくらいの清潔感が必要だろう。
17時頃から入店したので客はまばらだったが、程なくして女性で埋め尽くすされた。彼女らの韓国好きを改めて思い知らされる。新大久保には女子中高生が殺到していると聞くし、ネットで見かける嫌韓コメントのほとんどはおっさんの仕業なのだろうか。
窓際からは七条新町を見下ろせる。と言っても2階からなので絶景という訳ではないが。
屋台と言えば韓国焼酎を頼みたくなってしまうが、日本だと割高どころの値段じゃないので止めておく。ソジュはやはり、韓国で現地人とともにワイワイやりながら飲みたい。
ところで、韓国に行けばこの手の屋台であふれているかと言うと、ソウルに限って言えばそうでもなくなった。ソウル市による「歩きやすい街づくり」などで取り締まりが厳しくなり、それまで違法営業していたポジャンマチャが一掃されたためだ。いや、商売を続けたければ正規の手続きを踏んで届け出ろよ、と思うのだが、食材の価格高騰や都市の再開発などによる影響でなかなか難しいらしい。
メニューと頼んだもの
さて、何を食うか、だが、やはり名物のナッコプセ(낙곱새)は外せないだろう。「ナクチ(タコ)」「コプチャン(ホルモン)」「セウ(エビ)」の複合語で、正式名称は「ナッコプセポックム」という。ちなみに釜山名物。2ヶ月前に釜山で食べたナクセポックムと比べてはいけないだろうが……期待したい。
注文を通して何人かの店員さんと接したところ、ほとんどが日本人で韓国語は勉強中の人が多いようだ。商品名も日本語変換しないと戸惑う店員さんもいたくらいで、韓国料理屋としてはちょっと珍しい(たとえばチャジャンミョン(×)ジャージャー麺(○)など)。オープンしたてのせいもあるだろうが。
何はともあれ乾杯だ。
名物のナッコプセ登場。トック(餅)も入っていて美味そうだ。
韓国式のオデン。鍋ができあがるまでこういうのをつまみながら飲む。1本180円と少々高め。
韓国人の友人が「懐かしい…」と感慨にふけった。理由を聞くと、子供の頃にお母さんが屋台をやっていたらしく、よくこれを食べさせてくれたと。ええ話やん。
韓国風のり巻きは、通常のキンパと野菜キンパの2種類を注文してみた。どちらも味は極めて普通。
そうこうしている間にできたナッコプセ。さあ頂こうじゃないか。
うん、これは美味い。看板メニューだけあるぞ。
ただ後悔したのは、1〜3カラまで選べる辛さのうち、少々びびって2カラを選んでしまったこと。けっこう甘く、物足りなかった。逆に言うと辛いものが苦手な人でも2カラならなんとか、1カラなら難なく食べられると思う。辛いもの好きなら迷いなく3カラを選ぼう。
ヤンニョムチキンとハニーマスタードチキンのセット。日本で食べると微妙なことが多い韓国チキンだが、悪くないぞ。どれくらい悪くないかと言うと、
もう1個頼むほどである。
友達がノリで頼んだカレートッポッキ。見た目どおり、トッポッキをカレーにつけた味だった。こういうジャパーニーズ韓国料理はあまりおすすめしない。
辛さを求めてプルダックポックンミョンを頼んでみた。これよりもさらに辛いヘッ(核)プルダックポックンミョンもあったので、自信のある人はチャレンジしてもいいだろう。個人的にはあれはやりすぎ。
写真がひどいが、これはカムジャミョン。先のプルダックポックンミョンもそうだが、150円くらいで買えるインスタントラーメンなので、高い金を出して店で頼む必要はないと思う。
韓国の麺ものと言えばチャジャンミョン。京都で食べたチャジャンミョンのなかでは格別に美味かった。これはリピートしたい。
そろそろデザートを…と思うも、パッピンスが売り切れとのことで、友人は「一度食べてみたかった」というチーズホットクを注文。サクサクの衣をからとろけるチーズがにょーんと出てきて満足するも、「冷えたら終わりみたいな食べ物やな」と分析していた。
シメはチュオギトシラク(추억의 도시락)。思い出のお弁当だ。
これを…
通常のシャッタースピードだとブレるくらい振りまくって…
混ざったものができあがりである。
子供の頃、ランドセルの中に入れたお弁当が昼食時にはぐちゃぐちゃになっていた、 という韓国人のほろ苦い思い出を商品化したメニューなので、「スプーンで混ぜれば?」とか言ってはいけない。
以上、満腹。
テイクアウトも可能
明るかった七条新町もすっかり暮れてしまった。
改めて外観を眺めて気がついたのだが、テイクアウトも受け付けているようだ。
チキンなんかを持ち帰って自宅でビールとともに一杯、というのもいいだろう。
この先、人気が出るかはわからないが、この店は同じく七条新町に居を構える人気串カツ店「炭火鶏串カツ みなみ」の姉妹店で、オーナーはなかなかやり手の韓国人らしい。京都駅付近で美味しい韓国料理屋さんができるのは大歓迎なので、ぜひ人気を獲得し、店舗を拡大してほしいものだ。
店名:韓国屋台料理とナッコプセのお店 ナム
住所:京都市下京区七条通新町東入西境町152番地
電話番号:090-6963-7543
営業時間:11:00~14:30 / 17:00~23:30 ※日・祝は22:30まで 定休日:不定休