インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアの続編というだけで期待値MAXでしたが、あまり期待しすぎると後で悲しくなるのでその心積もりで鑑賞。案の定、期待しないで良かった作品です。
原作ファンを筆頭にあちこちで酷評されている作品で、かくいう私も「内容が薄い」「レスタトがなんかいい奴すぎる」「ルイも出せやハゲ」等と不満を口にしていました。
が、ひょんなことからもう一度観る機会があり、暇つぶしのつもりでぼーっと観ていると、そこまで悪くないのでは?なんて思いだしまして。特にアカーシャを演じた故・アリーヤの妖艶さは必見。彼女の美しさを観るだけでも価値があると言い切れます。
2002/アメリカ 上映時間101分
監督:マイケル・ライマー
脚本:スコット・アボット、マイケル・ペトローニ
出演:アリーヤ、スチュアート・タウンゼント
ニューオリンズの地下墓地。ヴァンパイアのレスタトは100年の眠りから覚醒した。レスタトはそれまで彼が生きてきたどんな時代にも聞いたことのない怒りと官能を秘めた響き――ロックンロールに突き動かされた。彼はその音楽を操る連中の仲間となる。そして一気に世界を魅了するロックスターとなった。レスタトは自らの孤独な運命を呪い、歌詞の中でヴァンパイアの秘密を暴露してヴァンパイアたちを挑発した。そして遂に、レスタトの歌声は全てのヴァンパイアの母にしてもっとも邪悪な伝説の女王アカーシャを、数千年の眠りから蘇らせてしまうのだった…。
最強で最凶のアカーシャがシブすぎる
女王アカーシャは、レスタトの大胆さに惚れて彼と共に新王国を築くために復活しました。隣で眠っていた王の血を吸って元気百倍。彼女はすべてのヴァンパイアの母なので誰よりも強大なパワーがあります。レスタトの師であり、おそらくヴァンパイア界最強のマリウスでさえも逃げ腰です。
…あ、さっそく余談ですが、マリウス役の人がやや西村雅彦似なところに好感を持ちました。
ヴァンパイアは生前で最も美しかった頃の姿で永遠に生きるという設定なので、マリウスは後退しかかった額をチャームポイントだと理解しているということになります。そんなところも素敵。あと、今作では基本的にいい奴ですからね。
さて、そんな最強の女王がレスタトの歌声で蘇ったというから大変。彼女は血に飢える最凶のヴァンパイアで、人間はもちろん、ヴァンパイアも標的にするとんでもない悪魔です。アリーヤが小柄なので迫力にかけるという声もありますが、初登場時の、ヴァンパイアが集まるバーに現れたときのアリーヤは最高に怪しく、そして美しい。
バーに集まるヴァンパイアたちは無知なのか、アカーシャを女王と知らずに近づき、そのうちの一人は心臓を抜き取られて瞬殺。これを見て怒った他のヴァンパイアたちは彼女に総攻撃をしかけるものの、まったく相手にならない。
アカーシャはサイコキネシスで相手を吹き飛ばしたり、触れもせず血管を発火させたりと、無敵っぷりを発揮してそこにいたヴァンパイアを全滅させます。
新しい夫にしようと決めているレスタトに弓を引く者共ですから、妻として当然の行動かもしれませんが、ただの暇つぶしにも見えるのがアカーシャの魅力。
「危ない女」とわかりアカーシャと手を切るレスタトさん
ヴァンパイアの秘密をもらした罪で同胞から襲われるレスタトでしたが、アカーシャによってピンチを逃れます(マリウスもちょこっと活躍)。そのままアカーシャと一夜を過ごし、彼女の血をもらったおかげで陽の光も平気になりました(カーズ様)。女王を除けば向かうところ敵なしの新生レスタトが誕生です。レスタトは最強の伴侶を手に入れたわけですね。
ところが、彼女が人間を滅ぼそうとしていることが分かると、一気に愛が覚めます。彼はマリウスの教え通り、人間を敬い共存する道を選んだのです。前作ではあれほど獲物をいたぶって殺していたくせに。
人間が云々より、アカーシャのあまりの残虐性にどん引きしたのかもしれません。ハッキリ言って危ない女です。機嫌を損ねると自分もやられるかもしれない、そう思ったに違いありません。
だからアカーシャが、
「私を愛しているならあの人間を殺しなさい」
と命令したときも、しぶしぶ「お…おぅ」的な態度でジェシーを牙にかけていました。あのときに確信したのでしょう。この女に付いて行くとヤバイと。
最後は、レスタトが機転を利かして隙をつくり、そこをマハレットやマリウス、アーマンドといった、ヴァンパイアの最高峰軍団が襲いかかる戦略でアカーシャを倒しました。向かうところ敵なしのアカーシャもさすがに多勢に無勢だったでようで残念。もっと爆発的な力をみせて欲しかったのですが。
再び余談ですが、前作でクローディアを滅ぼしてルイの怒りを買ったアーマンドは、今作では驚くほど影が薄い男です。
前作とは別物と考えれば許せる
アカーシャにばかり注目した理由は、今作のレスタトがまるで別人で魅力にかけるからです。前作のレスタトはとにかく格好よく、ヴァンパイア人生を謳歌する闇の帝王として描かれていました。個人的には彼のしぶとさが一番魅力的だったなあ。なんてったって、「飲んだら死ぬ」と言われている死人の血を飲んでも生き延び、喉元を掻っ切られた状態でワニに襲われても生き延び、ホラー映画の最終手段である炎に焼かれても生き延びた男ですから。
にもかかわらず、今作の彼は妙に人間臭いのが納得いかない。今のレスタトならルイと仲良くなれるのでは? ルイをいじめていた頃の彼はあんなに輝いていたのに。
また、尺の問題なのはわかりますが、マリウスとデイビッドの関係や、マハレットとアカーシャの因縁などを描いてくれればもう少し見応えがあったのになぁと思います。
ヒロインのジェシーについてですが、最初から最後までまったく魅力を感じなかったので触れません。もう少しハマり役の女優さんが演じていたら、また別の評価が得られていたかもしれませんね。
これはインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアとは別物だと考えましょう。その視点で見ると、これはこれで楽しめます。