大変悲しいですが、12月の日本武道館で解散するTHE BOOMのラストツアーがついに始まっちゃいました。
ブームを知ったのは小学校6年生の頃。当時好きだった曲(確かB’z)を録音するために姉のカセットテープを勝手に拝借したところ、そこに入っていたのが『JAPANESKA』だったんですよね。
『島唄』のヒットで沖縄ソングのイメージが強いですが、活動初期はスカが多く、そこに宮沢氏独特の歌詞が相まって一気に惹き込まれてしまいました。上書きするなんてとんでもない!と。
というわけで、今回はブームの解散を惜しむ意味で、ぜひ皆さんに聴いていただきたい私的名曲ランキングを紹介したいと思います。かなり初期のチョイスに偏りますが、温かく見てやってください。
10位:虹が出たなら
1stアルバム『A Peacetime Boom』の最後に収録されています。3分くらいの短い曲で、なんだかさらっと終わるのですが、絶望と希望が表裏一体になった世界観が詰め込まれていて大好き。
ある朝君が死んで 一人ぼっちになっても
花のベッドですりきれるまで 毎日磨いてあげる
虹が出たなら 君の家まで 七色のまんまで 届けよう
途中で吹かれるリコーダーも好きです。アルバムでもライブ映像と同様、宮沢氏本人が吹いています。
9位:島唄
ご存知の代表曲。カラオケでブームを歌うときは最もチョイスしていた曲です。歌いやすいし、みんな知ってくれていますし。
島唄のヒットで初出演したミュージックステーションでは、宮沢氏が「作ったのは1年以上前なんで、なんか変な感じです」的なコメントをしていたのを覚えています。
また、当時は一ミリも理解していませんでしたが、島唄の歌詞には沖縄戦の悲劇と、そこで亡くなった方々への鎮魂の意が込められており、改めて聴くと目頭が熱くなります。
歌詞を読み解き字幕付きで解説している人がいたのでシェアさせていただきます。
8位:気球に乗って
『サイレンのおひさま』に収録されています。これも当時は知りませんでしたが、題材になっているのはあの天安門事件。
名もなき同胞が抹殺されて 価値あるブルジョワが生き残るとするなら
真っ先に死ぬのはこの僕なのさ 僕こそ不必要なものだから
歌詞がずしんとくる。自分が成長するにつれジワジワ好きになった曲です。
7位:過食症の君と拒食症の僕
JAPANESKAの2曲目に収録されている曲。陽気なメロディとどこか狂気じみた歌詞が大好きで、何度も何度も聴き返しました。カラオケで歌うと超絶難しい。
家庭の医学で調べてみたら 彼女の病はおそろしい
おなかの中が満たされていても ついつい勝手に手が伸びる病状悪化がいちじるしくて 半べそかきつつ食べている
僕にできることはと言えば 好きだと一言 言うくらいどうせ食われる我身でも あなたを侮辱する奴は殺して今夜のおかず
6位:そばにいたい
4stアルバム『思春期』に収録されています。何度聴いても優しい気持ちになれる曲。
今まで僕は過去の湖を泳ぎ ひざを抱えていた
だけど今はステキな明日がみえる
そろそろ君が幸せをつかむ番 その時は僕もそばにいたい
大切な人のためにも、自分のためにも歌いたくなる曲です。東の国から西から、笑い声が聞こえてきたらいいですね。
5位:おりこうさん
A Peacetime Boomに収録されています。メロディがかわいく、ライブではいろんなバージョンを楽しめます。
友達とっくにおりこうさんさ 気持ちはわかる
りっぱな人にはなりたくないけど偉いと思う
にえきらないままりこうになるから 始末が悪い
このあたりの歌詞が、当時中学生の僕の心をとらえたんですよね。
4位:風になりたい
『極東サンバ』に収録されています。結構ヒットしたのでブームファンじゃなくても知っている人が多いでしょう。
生まれてきたことを 幸せに感じる
かっこ悪くたっていい あなたと風になりたい
5stアルバムの『FACELESS MAN』からそれまでの曲調がガラリと変わり、この極東サンバでさらにまた変化するのですが、初めて聴いたときは「変わりすぎだろ(笑)」と、あんまり受け入れられませんでした。
ただ、やっぱりどこかでブームらしいしっとり感があって、優しい気持ちになれます。大勢でワイワイできるのもいいです。
3位:釣りに行こう
サイレンのおひさまに収録されています。歌詞から覗くストーリーが不思議で、中学生の頃必死で読み解こうとしたのですが、聴く人によっていろんな解釈が生まれそうだなと思いました。
釣り竿にぎったまま 君はまた昼寝
魚がひいているのに 今日も知らん顔
大人になってもう一度 あの川へもどれば
まだたぶん 君は眠りの途中
ハッキリしているのは、大人に成長した自分は、子供の頃よく遊んだ「君」とはたぶん二度と遊べない。「君」が「僕」と遊んでくれないのか、遊べない状態に陥っているのか、そもそも「君」が人なのかも怪しいです。
「君」が植物状態になった友人だと解釈している人がいて、なるほど一理あるなーと思っていたのですが、『「君」は空想上の生き物およびそれを育む自然の象徴』という解釈の方がしっくりくるなと思い直しました。
2位:からたち野道
JAPANESKAに収録されています。昔よく、「暗い曲ばかり歌うカラオケ会」なるものを開催していたのですが、そのときに必ず歌っていたのがこのからたち野道。大切な「あなた」と離別した女性が、悲しみをこらえつつも、やっぱり「あなた」が恋しくてたまらないというストーリーです。
ひとりぼっちの陽だまり小道 いつも二人で歩いてた道
こづえの花を摘み取りながら 泣きべそかいては困らせた春
女性は「泣きべそをかいていた」との描写からおそらく少女。戦争で遠くに行ってしまった「あなた」は、恋人なのか、兄なのか、父親なのか……。細かいシチュエーションは想像で補うしかないのですが、下記サイトの管理者さんがかなり熱心に読み解かれていて、概ね賛成です。
これを書きながら聴いていても半泣き状態に……悲しすぎる。
1位:ダーリン
サイレンのおひさまに収録されています。核戦争後、ほとんどの生物が息絶えた世界で愛を誓うゴキブリカップルのラブソングです。
いつかキミの笑顔が カサカサにひび割れても
僕の羽が朽ちるまで 七つの海を越えて
there is noting おぼえているかい? うそじゃなかっただろ
二人の未来さ ダーリン
「人間共は必ず墓穴を掘る」
「僕らだけの未来がいつかやってくるさ」
「ほら、言ったとおりだろ?幾億もの絵空事が現実になったんだ」
なんて会話を、下水道などでしていたのでしょうか(食べ物に恵まれた人家等ではないイメージ)。歌詞を見たときから「ダーリン」に語りかけてる人物が人間でないことは想像つきましたが、まさかゴキブリだったとは。戦争への皮肉を他でもないゴキブリ目線で語るところが宮沢氏のスゴイところ。
さいごに:神様の宝石でできた島(MIYA & YAMI)
ジャマイカ人のヤミ・ボロとのタッグでできたこの曲も大大大好きです。
君と歩き 共に生きた かけがえのない時間だけが
今のなお 星を讃え 輝いているね
サヨナラは言わないで いつかまた会えるはずさ
神様の宝石でできた この島で
そう 僕らはウソに慣れていただけだろう
言い訳を言う優しさもうすれていた
あと2ヶ月弱で解散してしまいますが、ブームはこれからもずっとずっと、聴いていきたいと思います。