皆さんは『猿の手』という物語をご存知でしょうか? 原題は『The Monkey’s Paw』というイギリスの短編怪奇小説で、その昔『世にも奇妙な物語』でドラマ化されたこともあり、日本でもかなり有名だと思います。 不意に本棚から出てきて読み返してみたのですが、やっぱり面白い。中学レベルの英語な点もグッドです。
猿の手は、どんな願いでも3つ叶えてくれるというナメック星版ドラゴンボールのようなアイテムですが、運命を捻じ曲げるようなお願いをした場合、等価交換としてそれなりの代償をかっさらって行きます。
物語に登場するホワイト夫妻の息子ハーバードは、住宅ローンの残債を支払うのに200ポンド欲しいと要求した翌日、仕事中に事故に巻き込まれて死んでしまいました。不憫に思った会社側が用意した報酬金は、なんとハーバードがお願いした200ポンド。
愛息子の死を受け入れられない母は、猿の手に「あの子を生き返らせて」と懇願します。すると、ウォーキング・デッド化したハーバードがゾンビ・アットホームしようとしてきたので、怯えた父が「息子を墓に戻す」ことを最後の願いに使うというオチです。 ここで思い出したのが、『HUNTERXHUNTER』に登場するアルカ。
アルカは、猿の手と違い、どんなお願いに対しても等価交換を求めます。そしてその代償を払うのは、お願いをした当人ではなく、それ以外の人物。
ハーバードがアルカにお願いをした場合、彼自身は無事に大金を手にできるでしょうが、おそらくは両親のどちらかが尻拭いをするハメになるでしょう。”猿の手基準”に則れば、200ポンドはハーバードの命と引き換えにするほどのお願いですから、
これくらいのおねだりをされても不思議じゃありません。要するに、死で償えと。 アルカのおねだりを4回連続で断ると、断った人物と、その者が愛している人物の最低2人が死ぬことになっており、この場合間違いなく夫婦ともども死にますね。もちろん、ホワイト夫妻のどちらかが武市半平太並の根性があれば別ですが。
つまり猿の手にお願いするとハーバードだけが死に、アルカにお願いするとハーバードだけが生き残ると。 ただ、アルカのルールを知っていれば、ホワイト一家はまったく関係のない誰かに尻拭いさせることもできるわけで、その意味でチートなのはやっぱりアルカ。猿の手はお願いした本人に災難が降りかかるところが、もはや呪いでしかない。
というわけで、ホワイト夫妻はアルカに出会っていれば良かったのにねえ、と、The Monkey’s Pawを読んだ後すぐにアルカ編を読み返した明け方の4時からお送りしました。