『なぁゲームをやろうじゃないか!!(なげやり)』から学んだ「相手の期待値を超える」という成功の鉄則

公開日:2018/06/06

桜玉吉先生(以下:敬称略)の漫画はすべて購入・愛読している私だが、特に好きな作品がある。月間アフタヌーンで連載されていた『なぁゲームをやろうじゃないか!!』。通称“なげやり”だ。

  

タイトルのとおり、ゲームの宣伝を目的とするPR漫画のはずだが、主人公の桜玉吉がまったくゲームの宣伝をしない。編集者からのお題(ゲームタイトル)をダジャレ風に曲解し、それを実行するためにあちこち奔走するという、何がしたいんだ?という構成だった。

たとえば、

  • BOYS BE…2nd SEASON(プレイステーション)
    →伊豆でボーッとしてビーッ:ただ単に編集者と伊豆で遊ぶ
  • 眠る繭(プレイステーション)
    →竹熊健太郎の奥さんであるマユさんが眠る姿をのぞきに行く
  • 鬼武者(プレイステーション2)
    →鬼のようにチョコをムシャムシャ食う(結果、白血球数に異常が出る)

しかしこれらが抜群に面白かった。

ゲームの内容と漫画の内容とがまったく連動せず、また作者の精神状態で作風がガラリと変わるため、毎回展開が読めずワクワクしてしまう。今考えると作家が消耗しそうな企画構成だが、ご本人も楽しんでおられたのではないか。

なげやりはお遊びありきでスタートしたと思うが、桜玉吉はときにオーダーを無視した作品を納品することがある(ご自身がファミ通だかの4コマで発言されている)。通常なら突っ返されるか、マジでそこそこ怒られるのがオチだが、桜玉吉の場合はそれが期待値を超えているので、発注側は喜んでしまう。

読者の気持ちも似たようなもので、純粋なゲームのPR漫画を読みたい層もいたかもしれないけれど、バカげたダジャレで身体を張っている中年オヤジを見ている方が面白いと感じた。転機となった「しあわせのそねみ」以降、メタフィクショナルな日記漫画に慣れ親しんできたのもあって、「この人はこれでいい、これが良い」という唯一無二のポジションを獲得していたのも大きい。

桜玉吉の漫画を読みながらゲラゲラと笑う一方で、成功とは相手の期待値を超えてなんぼとという鉄則を心に刻んだ私であるが、これがなかなか骨の折れる作業である。

はっきり言って疲れる。写真展、書籍執筆と、2017年末から最近にかけて公私ともに擦り切れる日々を送ってきたから、ここいらでちょっと休みたいと思っていた。

そんな、だらりとした私の姿勢を正したのが、2018年の『なぁゲームをやろうじゃないか!!』現象である。なにって、ロバート秋山竜次さんの消費者月間の動画だ。

タイトルにちなんでいれば何をやってもOKな、まさに、なげやり式の構成。消費者庁の担当者は「従来の啓発動画にはしたくなかった」とコメントしているが、この人ら桜玉吉のファンなんじゃないか?と仲間意識を持ってしまう。

役所なのに「炎上してもいい」消費者庁がロバート秋山で挑んだ動画 / withnews

ぶっちゃけ、話題になっただけで、消費者月間の趣旨を理解した人はほとんどいない気がするが、仕事としては大成功である。広報の方、GOサインを出した上司、そして出演した芸人すべてがグッジョブだ。

「相手の期待値を超える」。久しぶりに思い出せて良かった。

というわけで、もっかいなげやり読み返そうか本棚を眺めている深夜0時である。

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コウカ(kouka)
ライター、カメライター、漫画原作者。写真と落書き漫画を交えて文章を書くのが好き。瞬発力だけで生きている。

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