人はセミのように死に生まれ変わる生物 −ローリー寺西さんの話−

春が近づき暖かくなってきましたが、寒さが苦手な僕は現時点で夏を待ち焦がれています。

夏が好きな理由はいくつかありますが、たとえばセミの声。私はセミの声が大好きです。聴覚で季節を実感するのにこれほど有効な手立てはありません。

夏のゴングと言ってもよいでしょう。セミの声なしに日本の夏は始まらない。とはいえ、我が家の電柱に止まって朝っぱらから全力で鳴かれたら、無言で引っ剥がすかもしれません。

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200608231_026_m / petachita

さて、セミといえば、いつも思い出すのが歌手のローリー寺西さんの話。もう20年以上も前だと思うのですが、『クラブ紳助』という深夜番組でこんな話をされていました。

以下、うろ覚えでほとんど創作ですが、会話口調で記します。


「セミってね、自分がまさか空を飛ぶ生き物だなんて思ってないと思うんですよ」

「7年くらい土の中で過ごすわけですから、もう自分はそういう生き物だと思い込んでる」

「でもある日、突然息苦しくなるわけです」

「家族にも、“もうワシは死ぬ。あとのことは頼んだぞ”とか言って、息苦しいから地上に這い上がってみる」

「で、地上でさなぎになって死んだと思ったら」

「羽を持って生まれ変わって、そこで初めて気づくんです」

「“俺ってこんな生き物やったんや”って」

「僕はね、もしかしたら人間もそういう生き物じゃないかって思うんですよ」


 

言葉面だけを抽出するとなんだか宗教っぽくて、肉体の死や魂の存在うんたらかんたらと言いたいのかなこの人は、と思いましたが、つまりは、

 

現実にとらわれ過ぎてはいけないよ

未来は誰にも分からないんだ

頭を柔らかく、目を高く生きようよ

 

ということなんですね。

当時小学生だった私は、これを聞いて鳥肌が立ちました。たかだかセミを見て、なんでこの人はこんなことを考えたんだろうと(※)。

でも、これを発想と呼ぶんだなと思いました。

 

発想次第で世界はこんなにも違う。

発想することで選択肢が拡がる。

豊かな人ほど選択肢をいくつも持っている。

 

さらに、同番組内で氏は、オモチャの銃を無邪気に取ってこんな発言をします。


「これを作るには石油が必要ですよね」

「皆にはだたのオモチャなのかもしれないけど」

「僕には数億年前からの贈り物なんです」


 

ステキではありませんか。氏の発想力は、少年時代の私に少なからず影響を与えてくれました。その後、成長の方向を間違えたのか「へんくつ」と呼ばれることも多くなりましたが……。

以上、セミの声を聞くたびにローリー寺西さんを思い出す私でした。

※幼少時代、氏はひどくイジメられていたそうです。氏の発想の転換力は、自らを護るために身につけた悲しい力だったのかもしれません。

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コウカ(kouka)
ライター、カメライター、漫画原作者。写真と落書き漫画を交えて文章を書くのが好き。瞬発力だけで生きている。

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