観終わって「?」と謎に思う点がいくつかあったのではないでしょうか。
これは宮崎駿さんがあえて原作での基本設定を曖昧にしたり、説明を省いているせいでよく分からないことになっています。
2004年/日本 上映時間119分
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
原作:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
声の出演:倍賞千恵子、木村拓哉(SMAP)、美輪明宏 ほか
自分に自信が持てないソフィーは、ある祭りの日に「女性の心臓を食べてしまう」という噂の魔法使いハウルと出会い親しくなる。しかしそれがもとでハウルを狙う荒地の魔女に嫉妬され、老婆の姿になる呪いを書けられてしまった。元の姿に戻るため旅に出たソフィーは、荒野で不思議に動くハウルの“動く城”を見つける。
代表的なのが、ソフィーが実は魔法を使えるという設定。
彼女自身も気づいていませんが、念じたものに命を吹き込むことができるのです。ラストシーン近くでカルシファーが、
「ソフィーなら大丈夫だと思う」
「おいらに水をかけても死ななかったし」
と言っていることからも理解できると思います。
そもそも原作では、カルシファーはハウルに心臓を返せば死んでしまう設定です。彼が生き延びることができたのもソフィーの魔力のおかげなのですね。
映画での疑問を上げていけばキリがないのですが、最も気になるのはやっぱり、
ソフィーの呪いは解けたのか?
僕は解けていると解釈しています。なぜか? 理由は原作にあります。
原作では、ハウルはソフィーの魔法をちゃんと解いてあげているからです。にもかかわらず、ソフィーは老婆の姿のまま。
そこでハウルは、ソフィーが自身で老婆の姿に変化していると発言しています。
映画版での冒頭、ソフィーはお出かけする前、お手製の帽子をかぶり、鏡の前でニコッと笑うシーンがあります。しかし、すぐにふくれっ面になり、帽子を深々とかぶってしまう。また、ハウルがソフィーのせいで髪の色が変色(元通り?)し、へこんでいた際、
「私なんて美しかったことなんて一度もないわ!」
と怒って泣いてしまうシーンもありますね。つまりソフィーは、
(どうせあたしは可愛くないし……)
(老婆がお似合いよ)
という強すぎる自己暗示が仇となり、せっかくのハウルの呪詛解除を無効化しているのです。だから、寝ているときや、自分の気持ちに素直でいるとき、ハウルにときめいているときなどは、美しい19歳の少女に戻ります。
「私はキレイでもないし掃除くらいしかできないけど」
と言った瞬間に老婆の姿に戻るソフィー。それを見たハウルが残念そうな表情になるシーンが印象的でした。
女性は気持ち次第でいくつになったって美しくいられる。
ということですねパヤオさん。
最後に、荒地の魔女について。
アイツはホントにボケてたのでしょうか?
サリマンのハマキを吸っているときだけ、正常に戻っていたようですが・・・。ボケていてもなお、ハナからカルシファーをロックオンし、
「きれいな火だねえ」
と言っていたのはさすが強欲な魔女です。
というか、自分にとんでもない呪いをかけた奴を介護するソフィーってもう神の領域ですよね。