先日のNHKのニュースで、兵庫県が自転車保険の加入義務化を検討していることが分かりました。
兵庫県 自転車保険の加入義務化を検討 NHKニュース
リンク先にも記載されていますが、きっかけは2013年7月に神戸地方裁判所が命じた高額賠償命令です。時速20~30キロで坂を下っていた小学生が散歩中の年配の女性を跳ね、意識不明の重体を負わせたとして、その母親に将来の介護費用等を含む9500万円の支払い命令を出しました。
ここ数年、こうした高額賠償事例は各地で見られ、未成年が加害者になるケースや、個人の支払い能力を大幅に超える判決が出ることから、社会問題視されています。
事故の概要 | 判決 | 賠償額 |
---|---|---|
自転車同士の正面衝突により歳の女性が点灯。脳外傷による後遺障害が残った。 | 東京地裁 平成24年6月 |
7100万円 |
歩行中の高齢女性に自転車が広報から衝突。女性は脳挫傷などによる要介護状態になった。 | 大阪地裁 平成23年7月 |
4400万円 |
高校生が道路を横断しようしたところ、交差点を通過しおわったロードレーサータイプの自転車と衝突。運転していた成人男性は傷害が残った。 | 東京地裁 平成20年6月 |
8900万円 |
成人男性が昼間に信号無視してハイスピードで交差点に進入し、青信号で横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡。 | 東京地裁 平成19年4月 |
5438万円 |
夜間に女子高校生が携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の女性(57歳)を轢く。女性には重大な障害が残った。 | 横浜地裁 平成17年11月 |
5000万円 |
高校生が自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性(60歳)が運転する自転車と衝突。女性は頭蓋骨骨折で9日後に死亡。 | さいたま地裁 平成14年2月 |
3138万円 |
下記は、警視庁が発表している『自転車関連の相手当事者別交通事故件数の推移』です。「対自動車」は減少傾向にある一方で、「自転車相互」や「対歩行者」の事故数はあまり変わっていないことが分かります。にもかかわらず、眼を見張るような高額賠償事例が増えているんですよね。
対自動車 | 対自転車 | 対歩行者 | |
---|---|---|---|
H15年 | 153,343 | 3,246 | 2,276 |
H16年 | 156,570 | 3,985 | 2,543 |
H17年 | 152,302 | 4,039 | 2,617 |
H18年 | 144,520 | 4,055 | 2,783 |
H19年 | 141,357 | 4,184 | 2,869 |
H20年 | 134,308 | 4,349 | 2,959 |
H21年 | 130,754 | 3,919 | 2,946 |
H22年 | 127,422 | 3,799 | 2,770 |
H23年 | 121,007 | 3,616 | 2,860 |
H24年 | 111,414 | 3,260 | 2,625 |
H25年 | 102,118 | 3,037 | 2,605 |
事故発生の原因はどうであれ、保険は自分では対応しきれないリスクのために入るものなので、自治体が安価な保険制度などを作ってくれるのは非常に良いことではないでしょうか。
ちなみに、条例ではありませんが、埼玉県の杉戸町では、町が契約者となって町内の小中学生およそ3700人を対象に団体保険をかけています。補償額は最高5000万円まで。年間200万円の保険料は、もちろん町が負担しています。
個人賠償責任保険があれば自転車保険は不要
こうした背景を受け、民間の保険会社が販売する自転車向けプランや、TSマーク付帯保険の加入が見直されています。TSマーク付帯保険とは、自転車を買ったときなどに、自転車屋さんに「貼りますか?」と聞かれるシールのことですね。一度は見たことがあると思います。
が……皆さん、自転車保険って加入していますか?
僕は加入していないんですよね。そしてもし、強制加入になったとしても、あまり気が進みません。
なぜって、余分な補償まで付いているから。
民間の自転車保険にしろ、TSマーク付帯保険にしろ、自分が被害者になったときの入院補償等が付いているんです。これが僕には必要ない。「怪我をしたらどうするんだ!」と思うかもしれませんが、高額療養費制度がある限り、健康保険適用内の治療であれば自己負担する費用の上限は決まっています。一般所得のサラリーマンなら月最大でも8万円強で、自分で支払えない額ではありません。
民間の医療保険や医療共済に加入している人ならなおさらで、保障のダブリになってしまいます。
だから、もし自転車保険に加入しろと言われるなら、個人賠償責任保険だけ売ってよと。抱き合わせ販売みたいに傷害保険まで付けなくていいよと思っています。
自転車保険を拒否することで、僕は自転車事故の万が一をカバーできないのかというと、もちろんそうではありません。知っている人も多いと思いますが、個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の特約でも付帯できるので、そっちで加入しています。最近はクレジットカードの特典サービスなどにも付いていますね。
「保険は自分では対処できないリスクにだけ備える」という意味で、僕が欲しいのは個人賠償責任保険のみ。傷害保険の分まで保険料を払う余裕はありません。
もちろん、傷害保険込みでも、非常に安価なプランがあれば検討したいですが、その代わり賠償額のグレードが低いなど、今のところ頼もしい保険は出ていません。au損害保険会社の「ケガの保険 Bycle」なんかは、個人賠償責任補償5000万円で月々400円と、結構いい線いってるとは思うのですが。
さいごに
万が一を保険で備えるのも大切ですが、もっと大切なのは交通マナーや安全運転への意識です。
歩道で鬼のようにスピードを出している人、車道を逆走してくる人、携帯を見ながら運転している人、たくさん見かけますが、ああいう人たちをまず厳しく取り締まるべきでは。
といっても、運転してる側は、自分がヒヤリとしないと分からないもんなんですよね…。