15歳で集団レイプに遭って以降、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きていたという雪村葉子さんの手記を映像化したもの。何の下調べもなく、ただ、のほほ~んとしたテンションで観たらボディをえぐられた。
僕は、作中の悲劇が事実をもとにした展開でも「映画は映画」と割り切る性格なのですが(たとえば韓国映画の『トガニ』あたりは何とも思わなかった)、なぜかこの作品はダメージを背負わされました。女優さんの力か?
西暦/2018 日本
上映時間:119分
監督:和田秀樹 原作:雪村葉子
出演:西川可奈子、平塚千瑛、美保純、佐野史郎 ほか
15歳で性的集団暴行の被害に遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子によるセンセーショナルな手記を、精神科医で「受験のシンデレラ」などを手がけた和田秀樹監督のメガホンで映画化。東北地方の田舎でごく普通に暮らしていた中学3年生の葉子。そんな彼女の平凡な日々が若い男達に無理やり輪姦されたことで崩壊する。ひょんなことから出会ったレイプ犯の1人の養父と援助交際の契約を交わした葉子は、地獄からの脱出、そして男たちへの復讐のためにひたすら金を貯め続ける。高校を卒業し、東京へと向かった葉子は全身整形を施し、昼間は真面目な学生、夜は学費や生活費を稼ぐために風俗で働くという生活をスタートさせるが……。
どん底が長期継続するという意味で、あの『アレックス』より悲惨
物語は、何の罪もない15歳の少女がいきなり、しかも元旦に連れ去られて集団レイプされるシーンから始まります。この映画の特徴である「主観撮り」が功を奏し、かなりリアルでかなり胸くそ。演じた西川可奈子さんが本当に15歳に見えるのも手伝って心がざわつく(実際には三十路らしく声に出して「マジか!!」と言った)。
ここで思い出したのが、同じく初っ端から主人公の女性が性的暴行を受ける『アレックス』という作品。これも相当な胸くそ展開なのですが、物語がラストシーンから始まる「逆再生方式」という変わった撮り方をしているせいで、主人公の「その後の生活」が描かれないんですよね。逆再生なので、ストーリーが進むにつれ何もなかった平和な日常へと戻っていく訳です。まあ、だからこそ、その後の悲劇を知っている観客は鬱になるのですが。
一方この映画は、初っ端からどん底に突き落とされて、這い上がろうにも親は味方をしてくれないし(個人的にはA級戦犯は母)、噂を聞いた友達からはハブられるし、卒業・進学・就職・結婚と、葉子のライフステージは変わってもこの日のトラウマにずーっと支配された人生が描かれているのが辛い。
とりあえず見てください
ネタバレで感想を書こうと思ったのですが、あまり考えがまとまらないので一旦締めます。たくさん見どころがあるなかの、特筆すべきキャラクターは、佐野史郎演じる狂った夫。あの冬彦さんを彷彿とさせる異常キャラで観客を楽しませてくれます。