最近加入したHuluで拝見。タイトルや予告編からコメディであることは知っていたのですが、いやはや、ここまでとは。学生の街・京都で最高峰の京大生たちが、熱くも滑稽なサークル活動に精を出す物語です。
個人的に大好きな山田孝之さんを観に行ったのですが、映画が終わると楠木ふみ役の栗山千明さんのファンになっていました。それほど、彼女の壊れっぷりは素晴らしい。見た目が既にコレですから。
2009/日本 上映時間113分
監督:本木克英
脚本:経塚丸雄
出演:山田孝之、栗山千明、荒川良々、濱田岳、芦名星ほか
二浪した後、念願の京都大学に入学した安倍(山田孝之)は、一目ぼれした早良京子(芦名星)の存在が決め手となり「京大青竜会」というサークルに入部する。安倍はここをレジャーサークルか何かだと思っていた。しかし、実態は京都に千年伝わる競技、“ホルモー”のサークルだった。
意味不明なオニ語を連発する栗山千明……
タイトルにもなっている「ホルモー」とは、式神という小さなオニを召喚し、それらを戦わせて勝敗を競うというもの。千年伝わる由緒正しい競技で、誰にでもできるわけではなく、「式神を操るには「オニ語」とそれに従属するポーズを覚えることが必須です。
ただ、このオニ語やポーズがへんてこりん過ぎて、どんなイケメンや美女がやっても間抜けに見えてしまいます。
- 武装せよ:ドゥ・フギュルゥ
- 突撃:アギュリッピ
- 潰せ:ゲロンチョリー
- 負けるな:カイマーシュル・ダイホーテェ
- 広がれ:フィビーク
- 我に続け:アイギュウ・ピッピキピー
- レーズンを支給:マンサーナ
- 防御せよ:シットゥカリ
- マークせよ:パパラッチ
- 退去せよ:カイダー・ピッピキピー
- 追いかけろ:グェゲボー
上記で最も登場するのが、潰せ!という攻撃命令の「ゲロンチョリー」。これを下のようなポーズと組み合わせて発せねばなりません。
こんな滑稽なポーズとセリフを、あの『バトル・ロワイアル』や『キルビル 』で「怖い女」の存在感をしらしめた栗山千明が連発するのですから、おかしくてたまりません。
ただ、なぜでしょうか。物語が進むにつれ、この光景がまともに見えてくるというか、違和感がなくなってくるというか、「呪術を扱うために必要なんだよね」などと思えてくるから不思議です。真剣にホルモーを競う学生たちの情熱と、背景にある京都の街並みが合わさってそう錯覚させるのでしょうか。何度も見返すと地面から武器を召喚し武装するオニたちも格好よく見えてきます。
学生といえば、ホルモーを受け継ぐ東西南北の4大学(立命館大学、京都大学、龍谷大学、京都産業大学)のメンバーが祇園祭りで「四条烏丸の会」を開くシーンは私的に大好き。龍谷大学フェニックスの会長が佐藤めぐみさんというのが良かった。また、立命館大学の白虎隊の会長は、どこかで見たと思ったら『パッチギ!』に出ていた韓国人役の人ですね。日本語上手いな!と思ったら在日の人だったんですね。
凡ちゃんの魅力
楠木ふみの魅力はそのぶっきらぼうさにあります。
原作のスピンオフ作品『ホルモー六景』では「誰も私のことなんか好きにならない」なんてセリフもありますが、そんなふうに思い込んでいるせいか、密かに想いを寄せる安倍にも「安倍、黙れ」「安倍、破綻している」と冷たくいい放ってしまいます。おかげで安倍は(俺は凡ちゃんに嫌われているらしい)と勘違いするのですが……。まあ呼び捨てはともかく、安倍に強く当たるのは、安倍が惚れている早良京子を「サイテーの自己中女」と見抜いていて、そんな女に骨抜きにされている安倍が許せなかったのかもしれません。
安倍の心が動いたのは、最後の決戦で凡ちゃんに救われたこと、凡ちゃんが自分を好きでいてくれていることのほか、メガネを取ったら実は可愛いということに気づいたからだと思います。
ぶっきらぼうで、常にドライバーセットを持ち歩き、数学のことでしか饒舌にならない、でも好きな人には一途でツンデレで美人とか、こんなキャラ好きにならないはずがない。ラストシーンで、安倍と凡ちゃんが2人自転車で鴨川を疾走する画がとても好き。主役は凡ちゃんかなと見誤ってしまうくらいです。
さいごに
舞台では芦屋役の人が安倍を演じ、早良京子役はそのまま、凡ちゃんはより原作に近い人が演じていたみたいですね。当時知っていれば観に行ったのに……残念でありません。