原題は『The Orphan(孤児)』といいます。韓国旅行に行った際、昼間なにもすることがなかったので暇つぶしに観たのですがなかなか衝撃的でした。
2009年アメリカ 上映時間123分
出演: ベラ・ファーミガ, ピーター・サースガード, イザベル・ファーマン
監督: ジャウム・コレット=セラ赤ん坊を死産して悲嘆に暮れるケイト(ベラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)。その悲劇はふたりの結婚そのものを揺るがすだけでなく、悪夢にうなされ、つらい過去に悩まされるケイトのもろい神経にも打撃を与えている。表面だけでもなんとか普通の生活に戻そうと必死の夫婦は、養子を迎えることを決意。そして訪れた地元の孤児院で、彼らはなぜかエスター(イザベル・ファーマン)という名の1人の少女に惹きつけられる。だが、引き取ったあとでエスターの本性に気づき始めたケイトは、家族の身の安全を守るため、ジョンたちにエスターの愛らしい外見の裏に何が隠されているのかを知らせようとする。しかし、彼女の必死の警告は聞き入れられないまま時間が過ぎていき……。(公式HPより抜粋)
韓国語字幕で鑑賞→解読不明な箇所は英語ヒアリング→それでも分からなければ放置、という脳内変換で鑑賞したため、7~8割しか読み取れていません。日本語で観直したわけでもないので、誤認がたくさんあるかも。
登場人物
簡単に言うと、エスターという養子の女の子が一家の幸せをぶち壊す話です。見所はそのぶち壊し方と、彼女に隠された秘密の正体。まずは主な登場人物を軽く紹介。
■ママ
物語の主人公。二児の母。死産の経験がある。
■エスター
養子の女の子。10歳くらい。猫をかぶっているが、真の姿はインドのクレージータイガーもびっくりのサイコパス女。
■パパ
精神的に不安定なママを支える一家の大黒柱。とても優しいがヘタレ。
■ダニエル
長男で12歳くらい。エスターを嫌っている。パパ譲りのヘタレ。
■娘
ダニエルの妹で盲ろう者。エスターの唯一の味方。しかし、その暴走ぶりに徐々に心が離れていく。
■シスター
孤児院の責任者。ママからの相談を受け、エスターを連れ戻しにやってくる。
一家崩壊請負人のエスター
エスターの秘密については、作中にさまざまな伏線がはられています。たとえば、”おませさん”であること。
- パーティドレスのような(年齢と合わない)服を着て学校に行く(ママが着替えるよう説得しても持論を曲げない)
- バスルームを独り占めする(誰かに見られたら恥ずかしい)
- ママとパパの夫婦の営みをのぞく(しかも行為を邪魔するかのように絶妙のタイミングで現れる)
また、『謎の手帳』の存在。ここにはなぜか、ダンディなオヤジのプロマイド集が入っています。孤児なので、これまでのお父さんなのか、それとも、その年齢で既にオヤジ好きなのか、この時点ではよく分かりません。
エスターを語るうえで絶対にはずせないのが、『狡猾な暴力者』という点。すぐにキレる反面、やけに冷静で、証拠を残さず確実に相手を痛めつける天才です。また、邪魔者を排除するために利用できるものは何でも利用します。
こんな奴を我が子として愛せる訳がない!ママと息子のダニエルは反エスタ派に回りますが、これがエスターの闘争心に火を点けるはめになります。
最初の犠牲者は孤児院のシスターでした。ママからの相談を受けてエスターの様子を見にやって来たところ、ツルハシで撲殺されます。ダニエルはもともとヘタレで戦闘力5以下のゴミなので勝負にならず敗北。窒息させられておだぶつです。
エスターのママに対する攻撃はなぜか直接的ではなく、たとえば娘を危険な目に遭わせ、それがママの仕業であるかのように細工したりと、精神的なダメージを与えていきます。やがて沸点に達したママはパニックになりダウン。人生ゲームでいうと1回休みといったところで、入院してしまいます。
エスターの狙いはパパ
という訳で、ゲームに参加してるのは3人になりました。エスター、娘、パパです。エスターにとってみれば、娘は力なき存在なので放っておいても問題なし。
邪魔者(ママ)がいなくなったところで、エスターはさっそくパパの元へ。なるほど、次の犠牲者はダディか。
……ところが、エスターの格好が妙です。少女には不自然すぎるばっちりメイクと真っ黒なドレス。
「パパと結ばれたい」
そう、エスターの目的はこれだったのです。
一方、病院で目を覚ましたママは、驚愕の事実を知ることになります。エスターの過去について詳細に調査したところ、彼女はホルモンの異常で発育に問題があり、
本当は33歳だというのです。
누나(お姉さん)じゃん!
これですべての伏線がつながりました。
おしゃれも、恋愛も、性的興味も、そして計画性のある犯罪工作も。エスターは年相応のことをやっていたのです。そして、謎の手帳にあったおやじプロマイド集は、これまでに愛したおじ様であろうと推測します。
とにかくパパが危ない!急いで病院から抜け出し、自宅に向かうママ。
エスターにとっての誤算は、パパの性的関心が正常であったこと。当然のごとく、全力で拒否されてしまいます。ここでパパがガチのロリコンという設定もなくはなかったと思いますが、邪道にはそれず、思い切り振られて泣きじゃくるエスター。
なんてったって、33歳の失恋です。けっこう、重いぞ。
逆上した彼女は、パパを滅多刺しにして惨殺。パパは最初から最期まで、韓国映画に出てくる警察のような無能っぷりで逝ってしまいました。
ラストバトル
パパの死に一歩遅れ、ママが到着。凄惨な光景を目の当たりにして取り乱しそうになるも、今は自分と娘を守ることの方が大切です。
拳銃を所持しているエスターに対し防戦一方のママでしたが、運良くエスターを失神させることに成功。それと同時に、パトカーのサイレンが。
助かった・・・・。
娘を抱いて外まで逃げ、ほっとひと息つくママ。しかしその瞬間、息を吹き返したエスターが襲いかかってきます。取っ組み合ううちに土手から落ち、湖氷で争う二人。
「ママが危ない!」
と、ここでついに娘が動き出す。エスターが落とした拳銃を握りしめ、狙いを定めて発砲したのです。
ドォン!
はずれた!てか、はずすなよバカ。
弾丸は氷を突き抜け、その衝撃で崩れた足場にのまれ、湖に転落する二人。なんとか先に這い上がってきたのはママでした。しかし、エスターの執念はハンパではありません。ママの足をつかみ、
「おいていかないでよ……ママ」
と、妙に子どもぶった言い方で助けを請います。するとママ、
「アンタのママじゃないわよっ!」
と、空手の上段者もびっくりの即足蹴りを炸裂。まともに喰らったエスターは、ボキィッという鈍い音とともに湖の底に沈んでいく……。エスターの死をもって映画は終わりを迎えました。
振り返っての感想
いやあ、まさかこの映画の結末が即足蹴りで終わるなんて誰が予測したでしょうか。
以上、長々と書きましたが、興味の湧いた人はぜひ観てください。韓国語字幕だけあって細かい会話が分からなかったので、僕も気が向いたら観ようと思います。