五稜郭から函館駅に戻り、『土方・啄木浪漫館』を見学するためバスにて啄木小公園前へ向かいます。
館は2階建てで、1階が土方歳三館、2階が石川啄木の展示室になっています。大変申し訳ないですが、啄木さんに興味はありません。
ズキュゥゥゥゥゥゥゥンンン……!!!
館内に入るやいなや、銃声が鳴り響きます。そして、
隊長ォ!
土方隊長ォォォォォォ!!!!
部下の悲痛な叫び声がこだまします。いきなりのこの演出。感激して一気にテンションが上がりました。
館内は実際に使われていた武器や鎧など土方歳三ゆかりの品が所狭しと展示されていて、奥の部屋では土方歳三ミニシアターなるもの上映されていました。来乗客のほとんどが1度の鑑賞で席を立っていくなか、最前列で喰い入るように3回も観てしまいました。
十分堪能したので次の目的地に向かおうと思ったのですが、せっかくなので啄木先生の展示室も見学することに。なんでも、「動く啄木くんロボット」というのがあるらしいです。
…………………………。
…………えー、啄木くんロボット、見ました。ちょっと気持ち悪かったです。啄木先生のファンの方、申し訳ありません。
碧血碑へ
さて、いよいよ最後の目的地、谷地頭にある『碧血碑(へっけつのひ)』です。碧血碑とは、土方歳三や中島三郎助など戊辰戦争において戦死した旧幕府軍の武士たち(北関東から東北地方)を弔っている供養碑のことです。明治を切り開いた維新志士、つまり官軍の戦死者は靖国神社などにきっちり(?)弔われているんですけどね。“勝てば官軍”とはよく言ったものです。
題字は陸軍奉行・大鳥圭介の書だとか。そういえば、大河ドラマ『新選組!土方歳三 最後の一日』では吹越満さんが大鳥圭介役を演じていました。とっても良かったです。
周囲に厳かな雰囲気が漂うせいか、何とも言えない気分になってきました。ボーッとしていられるけど、長居したくはない感じ。しかし、この旅のラストには相応しい場所かもしれません。
今夜は人気のない居酒屋でゆっくりと飲むか。近くの温泉で身体をい癒し、得体の知れない虚無感に襲われながら人気の無さそうな居酒屋に入りました。
店員「いらっしゃいませ」
私「………………」
誰とも目を合わせずカウンターのすみっこへ。生ビールと海の幸数点を注文し、タバコに火を点けます。すると、
「コンバンワー!」
どこから見ても観光客の女性二人に声をかけられました。
「どちらから来られたんですかぁ?」
「お一人で来られたんですかぁ?」
「五稜郭には行きましたかぁ?」
質問攻め。
二人とも結構美人でしたが、この日はひっそり飲みたかったので、正直ちとやかましい。なので申し訳ないですが、
「一人で飲みたいんでちょっと放っておいてもらえますか……」
なーんて言うわけがなく、
旅談義に、花、咲かせたぞォォォ!
最後の夜に相応しい酒。函館幕末巡りの旅、これにて無事完了です!