竹富島にやって来たら訪れない人はいないでろう、西桟橋。僕はこの有形文化財が好きすぎて、ほぼ1日中いることがある。
朝、昼、夕方、夜。西桟橋からのいろんな景色を味わいたいからだ。
漁のための船着き場として利用されていたのは1970年頃までの話。今では海や夕日を眺めるためだけのスポットと化しているため、1日に2回以上、訪れる観光客は珍しくない。が、僕のように居座り続ける人はそういないだろう。
石垣港離島ターミナルからフェリーで約15分というアクセスの良さも手伝って、朝の早い時間でも観光客が絶えない。このように、記念撮影をしては喜んで帰っていく観光客を見るのが微笑ましい。もはや隠居生活のじじいのような心境である。
もちろん、いつも独りでいるわけではない。たまには友人たちと訪れ、こうして記念撮影をすることもある。彼女らは同じカメラ教室に通った同期の仲間で、毎年どこかしら、共に旅をしている。次は「おそろコーデ in 西桟橋」を計画しているようだが、初老の僕にはびっくりするほど興味がない話だ。
ボーッとしていたら日が落ちてきた。
竹富島は良い意味ですることがなく、石垣島や西表島よりも時間がゆっくり流れている。ここでの暮らしはどんなものなのか? 京都市内で育ち、大阪市内で働く僕がここに移住したら順応できるのだろうか?
そんな、考えてもしかたのないことを考えながら西桟橋付近をふらつく。
やはり、ここでの夕日は格段に美しい。撮っで出しでもこんなにキレイだなんて。
竹富島から石垣島離島ターミナルへのフェリーは18時頃で終了してしまうため、西桟橋で夕日を眺めるなら宿泊が必須となる。なので、この時間帯での観光客は実はそう多くない。
ほぼ誰もいない西桟橋を眺めていると、ベストポジションでたそがれる男性が現れた。シルエット的に非常にカッコ良かったので、了承を得て後ろ姿を撮らせてもらう。
マジックアワーに突入したところで、ちびっ子カメラマンが登場。パパの一眼レフを奪い、しきりにシャッターを切っていた。子供にカメラを渡して後から写真を見るのすごく楽しそう。さすがに一眼は貸し出せないので、写ルンですあたりからスタートしてもらうが。
台風の後などはこんな色の空になることも。少々どぎつく撮ってはいるが、この日の夕日は本当に圧巻だった。
さて、残すところは星空のみ。真っ暗になるまで4時間以上あるので、近くの食堂で腹ごしらえして待つことにする。と、なると、メニューはこれしかあるまい。
沖縄料理で一番好きなラフテー。ただ、この店のはイマイチだったのでおすすめしない(と言いながら2回注文したが)。
オリオンビールをたらふく飲んで再び西桟橋へ向かうと、そこはまったくの別世界に変貌していた。酔ってる場合じゃないぞ、これ。
Lightroomにて現像。細かな設定は記憶にないが、20〜25秒ほどの露光。天の川が美しすぎる。
オリンパスの一部のカメラに搭載の『ライブコンポジット』を使って日周運動も撮ってみたが、ちょっと回しすぎたか…? このときすでに深夜2時を超えており、周りにいたはずの同士もいつの間にか消えていた。
しかし、ごうごう、びゅうびゅう吹きあれる風のなかで独り、カメラのモニタを眺める時間も悪くないのである。ここは大好きな西桟橋なのだから。
そんなわけで、満足のいく写真が撮れたら就寝。翌日はさすがに別の場所へ出かけるが、こういう1日を永遠にループしてもいいかな、と思うのだった。無邪鬼、出てこい。