ここ数年、「個人年金保険」関連のキーワードで検索している人が増えているようです。財政赤字、失業、少子高齢化、そして年金問題とさまざまな問題を抱える日本ですから、老後のことを考えると不安になるのも無理ありません。
「収入が多い高齢者」に限られているとはいえ、こんなニュースを見るとさらに国への不信感が募ります。
収入多い高齢者の年金、減額検討へ 経済財政諮問会議
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は、収入が多い高齢者の年金を減らす仕組みを検討する。学者や財界出身の民間議員が19日の諮問会議で提言し、6月末にまとめる政府の財政健全化計画に盛り込ませたい考えだ。ただ、負担増となる高齢者からの反発は避けられず、難航が予想される。
そこで、なんとか公的年金を補強するものを!と、民間の個人年金保険を頼るのも理解できますが、予定利率が残念すぎます。予定利率とは、保険会社が契約者に対してあらかじめ約束している利回り基準のことですが、下記にまとめたとおり国内生命保険会社の予定利率は下がっていく一方で、こんな低金利時代に長期間固定の個人年金保険に走るのはいかがなものかと。
■生保予定利率の推移(ざっくり)
1946(昭和21)年 | 3.00% |
1952(昭和27)年 | 4.00% |
1976(昭和51)年 | 5.00% |
1985(昭和60)年 | 5.50% |
1993(平成5)年 | 4.75% |
1994(平成6)年 | 3.75% |
1996(平成8)年 | 2.75% |
1999(平成11)年 | 2.00% |
2001(平成13)年 | 1.50% |
2013(平成25)年~ | 1.00% |
※保険期間20年超。変額保険や一時払保険は除く
逆に、予定利率が高い時代に加入した人は超お得。1980年前後から1992年辺りだと5%越えです。こうした保険は俗に「お宝保険」と呼ばれ、保険会社は逆ざや(約束した利回りで運用できず赤字になること)を防ぐため、巧妙な営業トークで現在の低い商品に乗り換えさせたり(=転換)するわけです。
ここでようやく本題ですが、このお宝保険は増額できる可能性があります。「契約2年以上経っていれば」「増額は年間いくらまで」等の条件付きではありますが、約款にきちんと「増額できる」と謳ってある商品があるんですよね。もちろん、契約時の予定利率を維持したままです。これ、結構スゴイことですよ。
保険会社としてはたまったものではないため、すんなり承諾するかは微妙ですが、約款に書いてあるのだから通って当たり前です。どうしても渋ってきたり、煩雑な手続きを要求してきたら、信頼できそうなファイナンシャル・プランナーに相談するのもいいかもしれません。とにかく約款に書いてさえあれば確実に増額可能。断わられたらそれは詐欺です。
一応の懸念としては、お得だからと言って一社に流動性の低い大金をつぎ込むのはちょっと怖いかも……というところでしょうか。それでも、現行の貯蓄系保険はもちろん、リスクを伴う金融商品に投資するより遥かに固いです。ああ、お宝保険がうらやましい。
さいごに
保険の約款はこれでもかと可読性を下げにかかっているため読む気が失せますが、保険商品を取り扱ううえでのルールブックですから、必ず目を通しましょう。疑問点は担当営業やコールセンターに聞いて解消しておくべきです。ただ、増額年金については、現職の営業マンでも知らない人が多いらしく、問い合わせがたらい回しにされる等の覚悟は必要かもしれません。