粟国島で撮影された映画『ナビィの恋』を20年越しに見て、「2020年中に粟国島に行くぞ!!」と雄叫び上げたのが10月。一ヶ月後、有言実行したので、旅の記録を残すとともに、おすすめコースなんかも紹介します。
ナビィの恋の作中で、おじぃ(登川誠仁)は「この島、何もないよ」と言っていたし、映画公開後、すぐに粟国島へ飛び立ったという友人は、「本当に何もなかった」と語っていました。ですから旅の目的は「何もしないをしに行く」です。
スナップマートのアンバサダーに応募したオリオンビール届いた❗️嬉しい❗️楽しく飲んで撮影します🍻(冷凍庫の霜は見なかったことにしてください)#snapmart #オリオンビール #アンバサダー pic.twitter.com/cPAdlzoe47
— コウカ@カメライター・フォトライター・漫画原作者 (@kouka17) November 18, 2020
しかし旅の直前で『オリオンビールアンバサダー』に選ばれたため(『snapmart』さん主催)、「沖縄ならではのロケーションでオリオンビールを撮影する」という目的ができました。カメライターを名乗る僕にとっては仕事といってもよいでしょう。
カメラ仲間3名を巻き込んでの2泊3日の旅行。さて、何もないらしい粟国島でビールを撮る以外何をしようか? アクセスや宿の情報については後半にまとめておきました。
観光スポットの位置関係を理解する
粟国島は周囲約12km、面積は7.64㎢で、マップを見るかぎりレンタサイクルがあれば半日で回れそうですし、実際にそうでした。レンタカーがあれば楽勝。起伏が激しいため徒歩はやめといたほうがいい。
レンタサイクルやレンタカーは観光協会で借りることになるので(要予約)、ほぼ真ん中に位置する観光協会から東回りで回るか、西回りで回るかの話です。我々は東回りで、撮影しながらのんびりと2日間かけて回りました。
観光ルート
ヘビ公園→西の浜→ウーグの浜→沖縄海塩研究所→ナビィの家と大濱商店→大正池→東ヤマトゥガー→西ヤマトゥガー(ヤヒジャ海岸)→マハナ展望台
1.ヘビ公園(通称)
『ぼーじゃーばる』という、何があるのかよくわからないところからすぐ近くに、こんな公園があります。
ヘビをモチーフにした滑り台と、
かわいい感じのブランコがあるだけなのですが、
ここ、映画『洗骨』のロケ地に使われた場所なんですよね。主人公とその家族の大切な思い出の場所として、何度も登場します。
特別な何かがあるわけじゃないので、一通り遊具を楽しんで終了……と思いきや、星景写真を撮るために再び訪れました。
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3枚目では恒例のライトアート遊びも実行。ありがとうヘビ公園!(でも星を撮るには結構明るい)
2.西の浜(ナビィの恋ロケ地)
『ナビィの恋』のクライマックスのシーンで使われた場所です。ヘビ公園のすぐそこにあります。
奈々子は浜に降りていましたが、現在は降りられないようになっていました。なぜ!! これ(↓)をちょっとやってみたかったのに。
3.ウーグの浜
オリオンビールの撮影もかねて2時間以上いたところw Google Map上では『長浜ビーチ』とヒットします。
といっても、ただの海水浴場です。他のリゾート地に比べると地味とも言えます。しかしコロナのせいもあって、我々以外に誰一人いない海は癒やしでしかないです。
オリオンビールはいろいろと撮りましたが、めでたく下記の写真が入選しました! そして僕だけでなく一緒に旅をしたメンバーも入賞!! ありがとうございますオリオンビール様!!!
4.沖縄海塩研究所
粟国島は塩の名産地と知られ、粟国ブランドの塩は世界中にファンがいるとか。そんな素晴らしい工場を見学しないわけにはいきません。ウーグの浜から少し距離がありますが、チャリンコなら5分ほどで着きます。
ま、そうですよね……。ということで、ファックコロナのため工場見学はできませんでした。「せっかく来てくれた」ということで、スタッフの方からサンプル品を頂き、記念撮影です。
5.むんじゅる節の碑/洞寺(テラ)
沖縄海塩研究所からぐっと南下したところに『むんじゅる節の碑』が建っています。
むんじゅる節とはなんぞや?と歌の内容を調べてみたところ、「むんじゅる(=麦わら)の平笠をかぶった女子がかわいすぎて男どもが虜になっている件」みたいな感じでした。
むんじゅる節はれっきとした琉球民謡のひとつであり、粟国島はむんじゅる節の発祥地だそう。
むんじゅる節の碑から左手には、『洞寺(テラ)』と書かれた門があります。門をくぐり道なりに進んでいくと、そこそこ大きな鍾乳洞にたどり着きます。
単なる洞窟がなぜ「洞寺」なのか? 『粟国村史』によれば、ここは雲水という那覇の僧侶が、他の僧侶との法術合戦に敗れた末に住み着いた洞窟で、雲水はここで島民に読み書きや仏道を教え交流を深めたのだとか。
結果、信仰心の強い島の人たちはここを洞寺と呼び、雲水亡き後は立木などの伐採を一切禁じて崇めているそうです。
6.ナビィの家と大濱商店
ナビィの家は少しわかりにくい場所にあります。
案内板からお察しのとおり、映画公開当時の様子は見る影もありませんが、一応あるにはあります。
ボロボロやがな……。しかも屋根の上のシーサーがウツボみたいになっとる。
民有地らしいですが、人は住んでおらず、貸す気もないのかもしれませんね。ここに住みたいというコアな映画ファンはいる気がしますが(そしてブーゲンビリアを植えまくる)。
ナビィの家から少し行くと、大濱倶楽部があります。沖縄民謡とアイルランド音楽がセッションをする作中屈指のシーンが撮影された場所ですね。映画では商店ですが、実際は村の集会所のようです。
7.大正池
大濱倶楽部から南西に進むと、大正池という林に囲まれた池があります。大正天皇の即位を記念して作られたそうですが、良く言えば自然豊か、悪く言えばうす汚い池です。ぶっちゃけ、わざわざ時間を割いて行く価値は感じませんでした。
8.東ヤマトゥガー
粟国島ではこのような岩石や地層が見られるのが特徴。この島が火山活動によってできたことがよくわかります。かなり圧巻です。
東ヤマトゥガーは、階段を降りた先に広がっています。上記の写真をご覧ください。階段の下に伝説の剣で割いたかのように山が割れていますよね。これも見ものです。
9.西ヤマトゥガー(ヤヒジャ海岸)
少し行くと西ヤマトゥガーに着きます。別名ヤヒジャ海岸といって、粟国島を代表する景勝地です。道路から階段を降りた先にあるのですが、アスリートのトレーニングかな?と思うほどの段数でびびりました。
こちらも素晴らしい景色が広がっています。超広角レンズを持っていくのがおすすめ。
10.マハナ展望台 / 筆ん崎
粟国島の最南部に位置するマハナ展望台は、粟国島で随一と言える絶景が拝める場所です。
夕焼けは必ずここで撮ろうと話していたので時間を合わせて行ったのですが、残念ながら曇っていて大した画は撮れませんでした(笑)。しかし、「マハナ=もっとも端」という言葉の意味どおり、ここからは久米島や慶良間諸島、渡名喜島、伊江島に沖縄本島などを眺望できます。
夜は夜景がきれいに見えそうですが、宿などがある中心地からはかなり離れているため、車がないと現実的ではありません。星撮影は、本島の光害がすごそうなので向いていないかと。
しかし、粟国島全体に言えることですが、これだけ悠久の時が流れている島は他にないかもしれません。永遠にぼーっとできる。
以上のルートを約2日間かけてゆっくりのんびり回りました。ありがとう粟国。ありがとう粟国の人々。ありがとうナビィの恋。
アクセス(フェリー or ヘリタクシー)
那覇市と粟国島を行き来するには、フェリーまたはヘリタクシーを使います。今回、我々は往路でヘリタクシー、復路でフェリーを利用しました。ほとんどの人がフェリーしか利用しないと思うので、順番は前後しますがフェリーでのアクセスから紹介します。
フェリーで行く・帰るなら
那覇市は『泊港フェリーターミナル(とまりん)』から、粟国島は『粟国港』から出港しています。
那覇市から『とまりん』まで行くには、バス(路線 / 高速)、モノレール、タクシーがあり、便利かつ安いのはバス。ただし荷物が多ければタクシーのほうがいいでしょう。
粟国島内から粟国港までのアクセスに迷う人はいないと思いますw
乗る前に「かなり揺れる」と脅されていたのですが、船の構造上、後ろのほうにいれば大したことはありません。
料金は大人1人で3,470円で、那覇-粟国島間は2時間ほどと、結構かかります。しかし真の問題はそこではなく、1日1便しかない点。
- 泊港→粟国港 9:55発
- 粟国港→泊港 14:10発
- 【参考】http://www.vill.aguni.okinawa.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=651
時間の都合でフェリーを利用できない場合、ヘリタクシーの出番です。
ヘリタクシーで行く・帰るなら
ヘリタクシーは、『エクセル航空』という会社を通して事前予約します。当日予約も可能ですが、空きがあるとは限らないのと、料金が割増になるため、できるだけ事前に予約することをおすすめします。
ヘリタクシーの利点は、船なら2時間以上かかるところを30分ほどに短縮できる点。値段は16万5,000円(片道貸切料金)と半端ないのですが、2020年10月時点では補助金がきき、2万2,000円という鬼のディスカウントで乗れました。
我々は4名なので、1人5,500円の計算ですね。フェリーだと大人1人で3,470円ですから、差額と所要時間を考えると悪くないと思います。
ただしめちゃくちゃ怖いです。だって粟国島へのヘリタクシー、2018年に墜落しているんですよ(゜o゜; 幸い、乗客はおらずパイロットも軽傷だったそうですが、映画『レインマン』のレイモンドなら発狂しているところです。
【参考】エクセル航空
https://okinawa3j.excel-air.com/heli-taxi-detail.html
※電話予約→受付完了→専用フォームから正式申込という手順をふみ、完了までは結構面倒くさいです。
粟国空港から中心地まで(バス or タクシー)
粟国空港から観光協会などがある中心地までの足がない場合は、村営コミュニティバス『アニー号』に乗るか、乗合タクシー『りかりか号』を呼ぶかの二択になります。どちらもネーミングがかわいい。
宿によっては送迎してくれるかもしれませんが、僕が聞いたかぎりでは、そういうサービスをしている宿はほとんどないそうです。
さて、我々はバスの時間に間に合わなかったので『りかりか号』を選択。料金はなんと1人200円。アニー号なら1人100円の優しい世界。交通インフラはこうでなくっちゃ。
【参考】
アニー号の運行時刻表
http://www.vill.aguni.okinawa.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=371
【参考】
りかりか号(デマンド型乗合タクシー)
http://www.vill.aguni.okinawa.jp/pdf/rikarika2.pdf
宿事情(基本は民宿)
宿は観光協会のサイトから当たりをつけるといいでしょう。数えるほどしかありません。公式サイトを持っていないところがほとんどですが、ググれば口コミなりレビューなりがヒットします。
【参考】粟国島の宿泊施設
http://aguni-kankou.jp/wordpress/see_stay_experience/stay/
小さな離島らしく、基本的には民宿一択です。宿泊料の相場は素泊まりで3,000円〜3,500円、2食付きで6,000円〜7,000円。
電話予約のみのところがほとんどなので、本当に予約ができているのか、数日後に確認したほうが安心です。事実、電話に出たおばぁがポカをやらかし、当日に宿難民になった人がいるという笑えない話も入手しました。
宿の人は基本的に親切で気持ち良いですが、客室環境も快適とは限りません。沖縄なので虫も出ます。どのような部屋なのか、可能なかぎりリサーチしておくことをおすすめします。
参考までに、我々が泊まった宿を紹介します。
プチホテル いさ
民宿がほとんどの粟国島の中で、唯一ホテルっぽいお宿です。
部屋は結構広く、さらに清潔なので女性におすすめ。謎のステンドグラスのセンスも光ります。
民宿 寿
粟国港から徒歩ですぐの絶好のロケーション。母子で経営されているっぽく、オーナーっぽい息子さんがめちゃくちゃ感じの良い人でした。
ただ、女性は注意したほうがいいのは、共同風呂の脱衣所の扉がカーテン一枚な点。「使用中」といったプレートもなく、カーテンが閉まっていればお察しという感じなのですが、誰かが誤って入ってきたらどうしようと、おっさんの僕ですらハラハラしました。
あと、男部屋は宿の人のミスで掛け布団がひとつしかなく、沖縄じゃなかったら凍え死んでいたところでした(なんくるないさ)。
食事所
粟国島の食事処は宿以上に選択肢がありません。旅行のごはんは現地の居酒屋等で済ませたい派ですが、営業日か定かでない(突然の休業もありあり)なので、食事をどうするかはきちんと考えることをおすすめします。
パーラー豊幸
南国の屋台という感じのお店で、島の人がめっちゃ集まっていました。
メニューに沖縄っぽさは感じないのですが、それは僕が観光客用の食べ物が好きだからかも。しかしらふてーを注文すると、店員さんから「らふてー?」と問い直され、「ほら、豚の角煮の……」と言うと、今度は「ぶた……??」と混乱している様子。
よく聞くと日本語の発音が変わっていたので、外国の方かもしれません。メニューにある日本語だけ知っているとか。らふてー食べたかったのに!!
なびぃー
ナビィの家近くにある定食屋さん。まさにナビィの家を見に行く前に寄りました。夜は居酒屋にもなるらしいです。
メニューに特徴的な点はなく、良い意味で素朴な定食屋さんという感じ。
僕はポーク玉子定食にしました。スパムに玉子焼きを並べてケチャップかけたらできあがりというシンプルすぎる料理なのですが、沖縄に来ると一度は食べたくなる。
浜売店
島内に売店は二つほどあります。今回の日程では浜売店しか開いていなかったので、ヘビーユーザーになっていました。基本的な買い出しはここですべて済みます。おみやげを買うのもいいでしょう。
ベーカリーカフェAGUNI_FAN
地域おこし協力隊として活動された方が、任期を終えた後にオープンしたパン屋さん。粟国島で焼き立てのパンを食べられるのはここだけです。
店内は白を基調とした内装で明るく、広さも十分で心地良い空間でした。悲しいかな、ファックコロナ対策のビニル張りが痛々しく感じましたが。
店主がとても話しやすい方だったので、できればもう少し長居したかった(粟国島への移住を勧められました 笑)。
喫茶まはな
女性陣がアイスを食べたいというので、マハナ展望台近くの喫茶店まで自転車を漕いでやって来ました。
粟国島の中学生が企画したという『コクうまっ!AAアイス』。4つ頼んだところ、店主が「あれ?3ついかないわ〜がははははは」と笑うので、僕はたいやきをチョイス。
写真だと伝わりにくいですが、ミニサイズなのでおやつにちょうど良いです。アイスだと食べ切れる自信がなかったので逆に良かったかも。
さいごに
粟国島はダイビングの名所として有名ですが、ダイビング好きでなくても十分楽しめます。粟国島在住の方は、「何しに来たの?」と不思議そうでしたが、何もしないをしに来たんですよ。何もしないというのはとても贅沢で、絶景を独り占めできる粟国島は最高に贅沢な島です。
アクセスに多少の難はありますが、いつの日かまた訪れたいと思います。というわけで、さいごに、自分用のおみやげなどをご紹介して終わります。
粟国島 島にんにく油味噌(浜売店)
あぐにようかん マーミー
粟国の塩
ありがとう粟国島!
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